○奥州市男女共同参画推進条例
平成19年3月14日
条例第2号
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第9条―第20条)
第3章 奥州市男女共同参画推進委員会(第21条―第28条)
第4章 雑則(第29条)
附則
私たちのまち奥州市は、豊かな自然と先人が築いてきた歴史と文化を継承しながら、日本国憲法の理念に基づき、法の下の平等と人権の尊重に向けた様々な取組を行っている。
しかし、男女の人権の尊重に関する認識はいまだ十分とはいえず、性別による固定的な役割分担とこれを反映した慣行が残っている。さらには少子高齢化の進行、経済環境の変化など、私たちをとりまく社会情勢が急速に変化するなかで、男女が共同して取り組まなければならない多くの課題が存在する。
このような状況を踏まえ、男女が性別にかかわりなく、自らの意思によって個人の能力と個性を最大限に発揮し、社会のあらゆる分野に対等に参画し、共に責任を担う社会の形成を図っていくことが重要である。
私たち奥州市民は、男女共同参画を推進することにより、男女の人権が十分尊重され、次代を担う若者にとっても夢の持てる、豊かで活力のある社会の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を受け、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 事業者 営利、非営利の別にかかわらず、市内において事業活動を行う全ての個人、法人及び団体をいう。
(3) 積極的改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、男女のいずれか一方に対し、必要な範囲内において、当該機会を積極的に提供することをいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者間その他の男女間において身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為その他心身に影響を及ぼす言動をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別を受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことがないよう配慮されること及び男女が性別による固定的な役割分担にとらわれることなく多様な生き方を選択できること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、市における施策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、社会生活における活動を行うことができること。
(5) 男女共同参画の推進が、国際社会の取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に行われること。
(6) 男女が互いの性について理解を深め、それぞれの意思が尊重されることにより、生涯にわたり健康な生活を営むことができること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、市民、事業者、県及び国との連携を図りながら、これを実施するよう努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に基づき、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市における男女共同参画の推進に関する施策の立案及び決定に共同して参画するとともに、その施策の実施に当たっては協力するように努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、その雇用する男女について、雇用上の均等な機会及び待遇を確保し、職業生活における活動と家庭生活における活動とが両立できるよう就労環境の整備に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第7条 何人も、社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスその他のあらゆる暴力的行為を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び前条に掲げる行為を助長せず、かつ、これを連想させる表現を用いないよう配慮しなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(男女共同参画計画)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策についての基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、男女共同参画計画の策定に当たっては、市民及び事業者の意見を反映するよう努めるとともに、第21条に規定する委員会の意見を聴くものとする。
3 市長は、男女共同参画計画を策定したときは、速やかに、これを公表するものとする。
4 前2項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(施策への配慮)
第10条 市は、その実施する施策の全般にわたり、男女共同参画の推進に配慮するものとする。
(推進体制の整備)
第11条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、推進体制を整備するよう努めるものとする。
(積極的改善措置)
第12条 市は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における活動において、男女間に格差が生じている場合は、市民及び事業者と協力し、積極的改善措置に努めるものとする。
2 市は、その設置する附属機関その他これに準じるものの委員その他の構成員の委嘱又は任命に当たっては、積極的改善措置を講じることにより、男女の構成員の数の均衡を図るよう努めるものとする。
(市民及び事業者への支援)
第13条 市は、市民及び事業者の男女共同参画の推進に関する取組を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講じるものとする。
(市民及び事業者への啓発)
第14条 市は、市民及び事業者の男女共同参画に関する理解を深めるため必要な広報活動等を行うものとする。
(教育及び学習の推進)
第15条 市は、学校教育、社会教育その他の教育及び市民の学習の場において、男女共同参画に関する教育及び学習の推進について必要な措置を講じるものとする。
(自営業における環境整備の推進)
第16条 市は、個人事業主及びその家族等により営まれている事業に従事する男女が、対等な構成員として、自らの意思によって経営及びこれに関連する活動に共同して参画する機会が確保されるとともに、当該経営に関する活動と家庭生活における活動とが両立できるよう必要な環境整備を推進するものとする。
(苦情の処理)
第17条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民又は事業者から苦情の申出を受けた場合は、適切な措置を講じるよう努めるものとする。
(相談への対応)
第18条 市は、第7条の規定による禁止行為その他男女共同参画の推進を阻害する要因に関する市民からの相談に対応するため、関係機関と連携して必要な措置を講じるものとする。
(情報の収集及び分析)
第19条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に関し、必要な情報の収集及び分析を行うものとする。
(年次報告)
第20条 市長は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の状況を明らかにする報告書を作成し、これを公表するものとする。
第3章 奥州市男女共同参画推進委員会
(設置)
第21条 男女共同参画の推進に関する重要事項等を調査審議するため、市長の附属機関として奥州市男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、必要があると認めるときは、男女共同参画の推進に関する重要事項について、市長に意見を述べることができる。
(所掌事項)
第22条 委員会の所掌事項は、次のとおりとする。
(1) 男女共同参画計画の推進に関する基本的かつ総合的な施策に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項
(組織)
第23条 委員会は、委員20人以内をもって組織し、委員は、男女共同参画の推進に関し知識を有する者のうちから市長が委嘱する。
(任期)
第24条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の後任の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委員長及び副委員長)
第25条 委員会に委員長及び副委員長1人を置き、委員の互選とする。
2 委員長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第26条 委員会は、委員長が招集する。
2 委員会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第27条 委員会の庶務は、協働まちづくり部地域づくり推進課において処理する。
(委員長への委任)
第28条 この章に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。
第4章 雑則
(委任)
第29条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成20年3月7日条例第3号)
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
附則(平成24年3月21日条例第10号)
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成27年1月30日条例第1号)
(施行期日)
この条例は、平成27年4月1日から施行する。