○奥州市議会議員政治倫理条例

令和7年12月17日

条例第38号

奥州市議会(以下「議会」という。)の目指す公正性、透明性及び信頼性を確保し、市民に開かれた議会は、議員に対する市民の信頼によって実現するものである。

そのために、議員は、自ら律する共通の政治倫理に基づき、公職にある者として高い倫理観及び良識並びに市民を代表する誇りを持ってその職責を担い、説明責任を果たしていくことが求められる。

よって、ここに議員と市民の信頼関係を築く基盤として、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、議員が市民からの厳粛な信託を受けた市民全体の奉仕者であることに鑑み、奥州市議会基本条例(平成21年奥州市条例第43号。以下「議会基本条例」という。)第16条の規定に基づく職務の遂行に資するため必要な事項を定めることにより、議員の政治倫理の向上を図るとともに、いやしくもその地位及び権限を不正に行使して私的な利益を図ることを防止し、もって清廉かつ公正で、開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員の責務)

第2条 議員は、公職にある者として高い倫理観及び良識並びに市民を代表する誇りを持ってその職責を担い、公正な職務執行を妨げるいかなる不当な要求にも屈してはならない。

2 議員は、第5条に規定する政治倫理基準に反する事実があると疑われたときは、自ら誠実にその疑惑に関して説明を行い、及びその責任を明らかにしなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、主権者として自ら市政に参加し、公共の利益を実現する責任を担うとともに、議員に対して、その地位及び権限を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(宣誓書の提出)

第4条 議員は、この条例を遵守する旨の宣誓書を、議員の任期開始の日から30日以内に議長に提出しなければならない。

2 議長は、前項の宣誓書を提出しない議員があるときは、その氏名を速やかに公表しなければならない。

(政治倫理基準)

第5条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の奉仕者として、その品位と名誉を損なう一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) その地位を利用して不当に金品を授受しないこと。

(3) 市が行う許可、認可等の処分、行政指導、補助金、交付金、助成金その他の給付の決定、売買、賃借、請負その他の契約又は指定管理者の指定に関し、不当に特定の者が有利又は不利となるよう働きかけないこと。

(4) 市の職員の公正な職務執行を妨げ、その地位及び権限を不正に行使するよう働きかけないこと。

(5) 市の職員の採用、昇任、降任、転任その他の人事について、特定の個人が有利又は不利となるよう働きかけないこと。

(6) セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント、モラルハラスメント、誹謗中傷、風評の流布その他人権を侵害するおそれのある行為をしないこと。

(7) 発言又はチラシ、ウェブサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービスその他の媒体を利用した情報発信において、他人の名誉を毀損し、又は人格を損なう行為をしないこと。

(8) 政治活動に関し、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)に規定する政治献金以外の寄附の授受をしないこと。

(9) 公職選挙法(昭和25年法律第100号)の規定に違反する寄附、要求等の行為をしないこと。

(審査の請求)

第6条 市民及び議員は、議員に前条に規定する政治倫理基準に違反する事実があると認められるときは、当該事実があることを証する書類を添えた審査請求書及び次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める者の署名を記載した署名簿(以下「審査請求書等」という。)をもって、その代表者から議長に対し、当該政治倫理基準に違反する事実の存否の確認に係る審査の請求(以下「審査請求」という。)を行うことができる。

(1) 市民が審査請求をする場合 地方自治法(昭和22年法律第67号)第74条第5項に規定する選挙権を有する者の総数の100分の1以上の者

(2) 議員が審査請求をする場合 3人以上(同一の会派(議会基本条例第4条に規定する会派をいう。)に所属する者のみで構成されている場合を除く。)の議員

2 審査請求は、政治倫理基準に違反する事実があった日の翌日から起算して1年を経過したとき、又は当該事実があった議員がその職を失ったときは、これをすることができない。

3 地方自治法第74条第7項に規定する期間は、第1項に規定する審査請求のほか、当該審査請求に伴う署名を求めることはできない。

(審査請求書等の受理等)

第7条 議長は、審査請求書等の提出があったときは、奥州市選挙管理委員会に対し、当該審査請求書等の署名の効力について確認を求めるものとする。

2 議長は、前項の規定により署名の効力を確認したときは、審査請求書等の記載内容について確認し、形式上の不備があると認めるときは、審査請求の代表者(以下「請求代表者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。

3 議長は、前項の補正を命じられた者が前項に規定する期間内に補正に応じないときは、審査請求を却下することができる。この場合において、議長は、請求代表者に対し、却下をした旨を通知しなければならない。

4 議長は、審査請求書等を受理したときは、その旨を請求代表者に対し遅滞なく通知するものとする。

(議会運営委員会への諮問等)

第8条 議長は、前条第4項の規定により審査請求書等を受理したときは、速やかに審査請求の適否について議会運営委員会に諮問しなければならない。ただし、議会運営委員会の委員が第6条の署名簿に署名をした議員又は当該審査請求の審査の対象となる議員(以下「審査対象議員」という。)である場合は、当該委員は、当該審査に加わることができない。

2 前項の規定による諮問を受けた議会運営委員会は、諮問事項について審議の結果を議長に答申しなければならない。

(審査請求の却下)

第9条 議長は、前条第2項の規定による答申を受けたときは、当該答申を尊重し、審査請求の適否について裁決するものとする。

2 議長は、審査請求の内容が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該審査請求を却下することができる。この場合において、議長は、請求代表者に対し、却下をした旨を通知しなければならない。

(1) 審査請求の対象となる事実が政治倫理基準に違反しないことが明らかであるとき。

(2) 審査請求の対象となる事実が過去に審査が行われた事実と実質的に同一であるとき。

(奥州市議会議員政治倫理審査会の設置)

第10条 議長は、前条第1項の規定により審査請求が適当であると認めたときは、奥州市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し、当該審査請求の審査を審査会に付託する。

2 審査会は、委員8人以内をもって組織する。

3 委員は、社会的信望があり、かつ、地方行政に関し高い識見を有する者のうちから、議長が委嘱し、又は指名する。

4 委員の任期は、当該審査に係る事案について、第13条第1項の規定による報告をするまでの期間とする。

5 委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(審査会の審査)

第11条 審査会は、審査請求のあった政治倫理基準に違反する事実の存否を審査する。

2 審査会は、前項の規定による審査を行うため、請求代表者、審査対象議員その他の審査請求に係る関係者に対し、事情聴取その他の必要な調査を行うことができる。

3 審査会は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

4 審査会は、審査対象議員に対し、弁明の機会を与えなければならない。

5 審査会は、審査対象議員が議員の身分を失ったときは、審査を終了する。ただし、審査会が特に必要があると認める場合は、この限りでない。

6 審査会の会議は、公開とする。ただし、出席委員の過半数の同意により非公開とすることができる。

(協力義務)

第12条 審査対象議員は、審査会の要求があるときは、必要な資料を提出し、及び会議に出席しなければならない。

2 審査会は、審査対象議員が審査に協力せず、又は虚偽の報告等をしたときは、その旨を公表するものとする。

(審査結果の報告)

第13条 審査会は、審査を終了したときは、議長に対し、当該審査の結果を報告しなければならない。

2 審査会は、政治倫理基準に違反する事実があると認めるときは、必要な措置を講ずることを議長に求めることができる。

(審査結果の通知)

第14条 議長は、前条第1項の規定による報告を受けたときは、その内容を請求代表者及び審査対象議員に通知し、並びに議会運営委員会に報告するとともに、その全部又は一部を速やかに公表しなければならない。

(意見書の提出)

第15条 審査対象議員は、前条の規定による通知を受けたときは、当該通知の内容について、指定された期限までに議長に対し意見書を提出することができる。

2 議長は、前項の規定により意見書が提出されたときは、当該意見書の全部又は一部を公表しなければならない。

(標準処理期間)

第16条 議長は、審査請求を受けた日から100日以内に、第14条の規定による通知をするよう努めるものとする。ただし、第6条第1項第1号の規定により提出された署名の審査に要した日数及び第7条第2項の規定により補正を求めた日数は、当該期間に算入しない。

(措置及び公表)

第17条 議長は、第13条第1項の規定による報告を受けたときは、その内容を尊重し、議会運営委員会の議決を経て、次に掲げる措置を講ずることができる。

(1) 口頭注意 議長が審査対象議員に対し口頭で注意すること。

(2) 文書による戒告 議長が審査対象議員に対し、文書で戒告し、及び当該戒告文書を公表すること。

(3) 議場における陳謝の勧告 議長が審査対象議員に対し、議場において陳謝すべきことを文書で勧告し、及び当該勧告文書を公表すること。

(4) 一定期間の出席自粛の勧告 議会運営委員会が本会議に審査対象議員に対する出席自粛勧告決議案を提出すること。

(5) 議員辞職の勧告 議会運営委員会が本会議に審査対象議員に対する議員辞職勧告決議案を提出すること。

(6) その他議会が必要と認める措置

2 議長は、前項に規定する措置を講じたときは、その事実を本会議で報告するとともに公表し、及び請求代表者に報告しなければならい。

3 議長は、審査対象議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは、必要な措置を講じなければならない。

(議長の代理)

第18条 議長が審査の対象となったときは、副議長が議長の職務を行う。

2 議長及び副議長が審査の対象となったときは、年長の議員が議長の職務を行う。

(教育)

第19条 議長は、議員に対し政治倫理に関する研修を定期的に行うものとする。

2 議員は、前項の研修に出席し、日々の学習と実践により政治倫理の向上に努めなければならない。

(この条例の見直し)

第20条 議長は、社会情勢、社会的倫理観の変化等を勘案し、必要に応じてこの条例の改正その他の措置を講ずるものとする。

(委任)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和8年2月1日から施行する。

(宣誓書の提出に関する経過措置)

2 この条例の施行の際、現に議員である者に対する第4条第1項の規定の適用については、同項中「議員の任期開始の日」とあるのは「この条例の施行の日」とする。

奥州市議会議員政治倫理条例

令和7年12月17日 条例第38号

(令和8年2月1日施行)