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希望のひかり 第13回

印刷用ページを表示する 更新日:2018年7月1日更新
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第13回 国際研究者組織が北上山地を視察 ほか

研究者による国内候補地一本化から、約2カ月が経過しました。10月には国際研究者組織が北上山地を視察したほか、ILC講演会やドイツ・マインツ大学の齋藤武彦教授による特別授業が開催されました。今回は、これらの様子をお知らせします。

国際研究者組織が北上山地を視察

リン・エバンス氏がILC候補地を視察地質調査結果を確認するリン・エバンス氏

ILC計画を推進している国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(以下、LCC)」は10月17日、北上山地を訪れ、ILCの建設候補地を視察しました。
同視察には、LCCの最高責任者であるリン・エバンス氏をはじめ、副ディレクターを務める東京大カブリ数物連携宇宙研究機構長の村山斉氏や各部門の責任者など幹部6人と国内研究者などが参加。一行は、ILCの中心衝突点付近と想定される一関市大東町大原をはじめ、一関市から奥州市の周辺環境を視察しました。また、伊手地区センターでは東北大と県が共同で行った地質調査の説明を受け、ボーリングコアなどの標本を観察しました。
視察後、一行は市内のホテルで達増拓也県知事や小沢昌記市長、勝部修一関市長などの地元関係者と意見交換。エバンス氏は、国内候補地一本化について触れ、「この視察により、選定プロセスは適切であったことが裏付けられた」と述べ「素晴らしい候補地。建設場所として問題ない」と、北上山地が最適であることを強調しました。一方、「今後数年かけて国際交渉を行う必要があり、実現にはかなりの我慢、忍耐が必要になる」と指摘。この発言に対し、達増知事は自身が外務省で国際プロジェクトに携わった経験から、ILC計画の実現までには、相当の時間が必要となることに理解を示しました。
意見交換後には記者会見が行われ、その中でエバンス氏は、「北上山地は事実上、世界唯一の候補地。詳細設計を北上山地に限り進めていく」と断言。詳細設計の拠点を、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)に置き、ILC研究所の母体となる研究者チームを組織することになるとも言及しました。日本政府に対しては、「ILCを受け入れるというはっきりとした声明を」と、その意思表明に期待を込めました。

ILC講演会が開催

満員の聴講者を前に吉岡教授が講演受け入れ体制の構築について話す増田氏

いわてILC加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)主催による「国際リニアコライダー(ILC)計画」講演会が10月9日、市文化会館(Zホール)を会場に開催されました。東北大・岩手大客員教授の吉岡正和氏と元総務大臣・県知事の増田寛也氏を講師に迎えた同講演会。国内候補地一本化後、市内で初めてとなる大規模な講演会とあって、中ホールが満席となる約500人の聴衆が詰めかけました。
はじめに「国際リニアコライダー(ILC)~子どもたちの未来のために~」と題し、吉岡氏が登壇。冒頭では、同講演会の前日に、物質に質量を与える「神の粒子」と言われるヒッグス粒子を提唱したピーター・ヒッグス氏とフランソワ・アングレール氏がノーベル物理学賞を受賞したことを紹介しました。両氏の受賞を祝いながら、昨年ヒッグス粒子の発見を確認した欧州合同原子核研究機構(以下、CERN)の巨大加速器LHCについて説明。「現在の理論では、宇宙全体の4%を理解しているに過ぎない。ILCによってヒッグス粒子を詳しく調べることで未知の領域に手を伸ばすことができる」とILC建設の意義を強調しました。北上山地は日本有数の花こう岩があることや、気候、交通、電力に問題が無いなど、素晴らしい場所と評価。産業振興として、アメリカのシリコンバレーを例に、「この地域をシリコンヒルズにしたい」と、ILCの人材育成や起業促進に期待を寄せました。
講演の終わりには、「日本は東日本大震災で深刻なダメージを受けたが、人口や豊富な天然資源、高い教育水準・意欲、匠の技術がある。『東北ルネサンス』を発信し、ILCをその中核とすることで、子どもたちの未来が見えてくる」と次世代への希望を述べました。
次に、増田氏が「ILCで築く地域の未来」と題して講演。まず、国内候補地一本化について、「候補地が10カ所あるなかで残った場所であり、素晴らしい地域であることは間違いない」と、北上山地を評価しました。
ILCの社会的意義として、(1)アジア初の国際科学拠点(2)地方のグローバル都市の創成(3)グローバル人材の地方からの輩出(4)新産業創出(5)外交・安全保障の政策強化―にあると解説。ILC計画の国内外の動きでは、文部科学省が平成26年度予算に5千万円の調査費を要求したことや、ヨーロッパからは熱心な支援の動きがあること、今後はアメリカからの協力を引き出すことがポイントになることを説明しました。ILCの実現を見据え、「巨大地方都市が短期間にできることを今から考えていかなければ間に合わない」と指摘し、そのモデルとして開放型の企業が立地するアメリカのシリコンバレーを提示しました。
ILCの先進事例となるCERNの研究・生活・住居などの環境も説明。外国人を受け入れるためには、教育と医療が重要で、「地元で解決策を工夫する必要がある」と訴えました。そのためには「地域力」をどう高めるかが大きなテーマと指摘。「地域の人(人材力)と物(資源力)の2つを磨くことが大事である」として「個人の力」や「やる気」「ネットワーク」「文化・伝統・歴史」を磨いていく必要性を強調しました。

齋藤教授が市内小学校で特別授業

齋藤教授による特別授業の様子(伊手小学校)6、7月に市内の学校で特別授業を開いたドイツ・マインツ大学の齋藤武彦教授が、10月25日にも羽田小学校と伊手小学校で特別授業を行いました。
齋藤教授のユーモアを交えた宇宙や科学、ILCの話に目を輝かせながら聞き入っていた児童たち。将来の岩手の姿に夢を膨らませているようでした。

日本学術会議がILCに関する所見を提出

日本学術会議(大西隆会長)は9月30日、文部科学省から審議を依頼されたILCの学術的意義などに対する所見を提出しました。
所見では、「ILCの学術的意義は十分に認められる」としながらも、「国内実施体制や海外研究者の参加見通し、必要経費の国際分担などの重要事項に不確定要素やリスク要因がある」とし、「政府が必要経費を措置した上で2、3年かけて集中的な調査・検討を進めること」を提言。また「海外主要国や地域と協議し、国際分担などの見極めを行うべき」としています。
国内候補地が一本化され、北上山地に合わせた詳細設計が進められることになったILC計画。今回紹介した視察のほか、10月15日には東京でリン・エバンス氏が参加した国際シンポジウムが開催されるなど、実現へ向けた動きが活発化しています。ILC実現のためには、地域住民はもちろん、国民全体の理解が重要です。市は、国民理解へつながるよう、今後も市民の皆さんにILCの情報発信を続けていきます。

希望のひかり 第13回[PDFファイル/1.94MB]

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