希望のひかり 第7回
第7回 ILCシンポジウムを開催 ほか
ILCシンポジウムを開催

「国際リニアコライダー(ILC)シンポジウムINおうしゅう~奥州市から世界へ」を平成25年3月9日に開催しました。
市と市国際リニアコライダー推進連絡協議会が主催したこのシンポジウムには、500人以上の市民が集まり、会場となった江刺体育文化会館(ささらホール)は、ILCの東北誘致に期待する市民の熱気に包まれました。
シンポジウムは、基調講演とパネルディスカッションの2部構成。
第1部は、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)の名誉教授で、ILCの国際共同設計チームアジアディレクターでもある横谷馨氏が、「ILCができたら?」と題して基調講演を行いました。
第2部は、江刺青年会議所直前理事長の菊池敏幸さんをコーディネーターに、5人のパネリストを迎え、パネルディスカッションを行いました。
基調講演「ILCができたら?」

講演で、横谷名誉教授は、日本やヨーロッパなどで稼働している加速器を紹介しながら、ILCの必要性や研究施設の規模などを説明。また、加速器を取り巻く高度な技術が、家電製品や医療分野などさまざまな形で私たちの暮らしに応用されていることに触れ、ILCの研究が、科学技術全体の進歩を加速させ、「若者の科学離れ」の解消につながることにも期待を込めていました。
ILCができると、海外の研究者やその家族などが大勢居住することになり、国際的な受け入れ態勢の構築が不可欠なことや、ILCを中心とした産業の集積が大切です。
しっかりとした受け入れ計画を作ることの必要性も指摘していました。また、ILCの実現の見通しとして、海外の状況を説明した上で、日本政府が資金を出すことを決定すれば、必ず日本での建設が実現すると熱く語りました。会場を埋め尽くした市民の期待は、一気に高まった様子でした。
ILCを生かしたまちづくり

パネルディスカッションでは、パネリストが、それぞれの立場でILCの実現に向けた思いや、ILCが実現したときのまちづくりについて期待を込めて発言しました。パネリストの発言の要旨は次のとおりです。
大平尚さん(県首席ILC推進監)
大平さんは、県が20年も前からILCの誘致に向けた取り組みを行なっていることや、北上山地の花崗岩が安定した岩盤であることを調査で確認していることを紹介。また、ことし7月の国内候補地一本化に向けた動きを受け、資料提出に向けた作業を進めていることにも触れました。
佐藤剛さん(市国際交流協会会長)
佐藤さんは、同協会による多言語での情報提供の活動や1月に開催した英語によるILC講演会の様子を紹介。この講演会では、外国人からもILCの誘致に期待を寄せる声が出たことや、誘致が実現した場合には日本で暮らす外国人をサポートするために、多言語に対応できる外国人を市の職員として採用することを提案しました。
千田ゆきえさん(株式会社千田精密工業)
千田さんは、同社がKEKの要請を受けて製品を納入した実績があることを画像を用いて紹介。同社や岩手の製造業の高い技術が、ILCの建設に生かせることが分かり、ILCの誘致をぜひ実現させて、地域の技術力の高さを示したいと話していました。
軍司啓宏さん(県立水沢高校)
軍司さんの通う水沢高校は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けています。ILCの実現に向けて、小学生を対象とした高校生による出前口座の開催などを提案。ILCno実現に大きな期待を寄せる一方で地域の盛り上がりの不足や岩手の豊かな自然環境に配慮した開発を求めました。
小沢昌記市長
小沢市長は、ILCの誘致に向けて地域が思いを一つにすることが、世界の学者への大きなアピールになること、教育や医療の分野で外国人を支える仕組みが必要となることなどを説明。「奥州市を世界に発信するチャンスであり、ぜひとも東北誘致を実現したい」と思いを語りました。
このシンポジウムの様子はインターネット上に動画配信し、ネットでの質問も受け付け。視聴者数は100人を声「現実的にILCを誘致できる可能性はあるのか」という質問に対し、横谷教授は、「その可能性は高い」と力強く回答。会場からは驚きと喜びの声が上がりました。
ILCの建設実現をめざすアピールを採択
シンポジウムの最後には、『「国際リニアコライダー」の北上高地への建設実現をめざすアピール(案)』を満場一致で採択。市民のILCの誘致に向けた期待が高まりました。
もう一つの候補地・脊振山地などを視察
2月23日と24日に県国際リニアコライダー推進協議会の主催による九州・沖縄視察が実施されました。
九州大学・脊振山地
もう一つの国内候補地である九州の福岡県・佐賀県にまたがる脊振山地などを視察。ILCの研究施設との連携を想定している九州大学の伊都キャンパスを視察した後、バスで想定衝突地点に移動。脊振山地周辺とそれほど変わらず、参加者からは、北上山地より山容が険しいとの感想も聞かれました。
九州側の想定では、唐津湾に注ぐ松浦川の下をILCnoトンネルが通ることになっている計画で、トンネルの位置が低くなると、北上山地と比べると全体的に標高が高い脊振山地では、難工事になるだろうとの説明がありました。
沖縄科学技術大学院大学
沖縄科学技術大学院大学では、学生の半数以上を外国人とすることにしており、学内の公用語は英語です。ILCを誘致する上での先進事例として、大学関係者から説明を受けました。
大学の開学に向けた外国人教授の招へいには、大変な苦労があったとのことで、ILC誘致においても研究者の家族をどのように受け入れるかの準備状況をしっかりと説明できることが重要とのアドバイスを受けました。
また、地元の効率小中学校では、外国人の教職員の子弟を受け入れるため特別教室を設置しており、効率の学校でも工夫すれば十分に受け入れが可能であると語ってくれました。
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この記事に関するお問い合わせ先
ふるさと交流課 ILC・多文化共生推進室
〒023-8501
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電話番号:0197-34-2123
ファックス:0197-22-2533
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更新日:2023年09月29日