図書館と斎藤實

更新日:2023年09月29日

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 斎藤實が、昭和6年に朝鮮総督を辞任した時、朝鮮の官民から一宮別邸を増築する足しにでもと言って、相当の金額を贈られた。
 これを受けた斎藤實は、いろいろ考えた末、一宮の家に手を入れるよりも郷里水沢に文庫でも造った方がよいとして、朝鮮の方々の了承を得た上でその計画に取りかかった。
 先ず吉小路の生家の跡が他人の手に渡っていたのを、町長やその他の斡旋によって買い戻し、その場所に文庫を建てる計画で工事に着手。翌昭和7年に工事は完了した。(設計は海軍省技師に依頼、工事は大林組が請負)

 斎藤實の生家の跡に建築された文庫は、鉄筋コンクリート2階建ての書庫と付属の建物とからできており、付属の建物には閲覧室兼用の日本間(南側)と帰省時に寝泊りする洋間(北側)とを配置した。

 現在書庫には38,200冊の本が収められており、その範囲はかなり広く、中でも昭和初期の政治史料や1,700冊にも及ぶ朝鮮関係の図書は、貴重な資料として研究者に利用されている。

 なお水沢町では「邸宅を文庫として町民の使用に供するのは忍びない」として、隣接地に斎藤子爵記念事業会の手によって【皋水記念図書館】が昭和16年に建設された。これが水沢市立図書館の始まりとなった。

  • (注意)斎藤實は昭和7年10月に内閣総理大臣として初めて帰省した際に立ち寄った他に数回来ている。昭和10年8月に20日間ほど滞在したのが最後。
  • (注意)春子夫人は、斎藤と同伴で水沢に来た時に立ち寄った。また、昭和20年3月に水沢に疎開して以来、白寿(99歳)で亡くなるまで27年間、斎藤實の「愛郷心」を承けて旧宅でお暮らしになった。

© 2002 斎藤實記念館

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