漢洋内景説

解剖学をテーマに、漢方・蘭方の両医学を比較して、後者が優秀な理由を具体的に指摘した長英の著述書。
同書の題言のなかで、長英は西洋医学の特徴として、解剖学が医学の基本であることを指摘している。時計を例に挙げ、時計が正確に時をきざむ理由は、外見のみでは知ることができないが、内部構造を分解してみると、容易にわかると述べ、解剖もこれと同様の意味を持つと述べている。これに対し、漢方医学の場合、解剖学的裏づけを欠いており、古医書の理論やみずからの臆断によって人体の内部構造を語る者が多いが、それらは中国固有の自然観である五行説の空理空論だと指摘している。
個人蔵
この記事に関するお問い合わせ先
- みなさまのご意見をお聞かせください
-
更新日:2023年09月29日