ハルマ和解

日本初の蘭和辞書で寛政8(1796)年に完成し、その後江戸で出版された。大槻玄沢の門下生稲村三伯が元オランダ通詞の石井恒右衛門などの協力を得て、オランダの出版者フランソワ・ハルマの『蘭仏辞典』の第2版を基にして編集した。各頁1段組15行、見出し語を木活字印刷、訳語を手書きし、約60,000語、全27冊30部を刊行した。表紙には‟F:HALMA, NEDERDUITS WOORDENBOEK”と記され、和名の表記がなかったため、玄沢が『前蘭後和東西韻解』と名付けたが、『ハルマ和解』と呼称され、写本には『波留麻和解』や『法留麻和解』と記されるか、オランダ語で印刷された題箋が貼られた。また、後に刊行される『ヅーフ・ハルマ』を「長崎ハルマ」と呼ぶのに対し、こちらは「江戸ハルマ」と呼ばれた。これらの辞書は、当時蘭学を志す者には欠かすことのできない辞書であった。
当館所蔵のものは、「e」冊(eから始まる単語を掲載)の写本である。
重要文化財
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更新日:2025年05月29日