市民記者リポート「ラクロスで切り開く新境地 目指すは全国の舞台」(第5回)
中央大学で学生記者として活動している吉田未来さんが市民記者となり、奥州市出身の大学生の活躍を紹介するプロジェクトの第5回です。
日本各地で活躍する奥州市出身の大学生
(文・市民記者 吉田未来)
岩手大学人文社会科学部で法学を勉強しながら、ラクロス部でオフェンスの要として活躍している小柳颯斗さん(奥州市出身※柳は異体字)。ラクロスを始めた経緯や部活での日々、さらに公務員を志す理由など、幅広くお話を伺った。将来はスポーツで培った経験と、法学の専門知識を活かし、多くの人がより良い生活を送れるような施策に関わりたいという。高校まで続けた野球から一転、地上最速の格闘球技と呼ばれるラクロスに魅了され、新たな挑戦の日々を送る。
インタビューに応える小柳颯斗さん
地上最速の格闘球技に魅了
高校時代は野球部に所属していた小柳さん。大学では新しいことに挑戦したいという思いから、サークル勧誘で目に留まったラクロス部に入部した。「地上最速の格闘球技と言われるラクロスは、スピード感や身体のぶつかり合いが魅力的だなと思いました。野球とは全く違う競技ですが、すぐに引き込まれましたね」と笑顔で語る。
ポジションは、いわゆるオフェンス専門の”AT(アタック)”。昨年度は全日本学生オールスターの選考会に呼ばれ、東北地区を代表する選手としての期待も高まっている。「4年生になったらオフェンスリーダーを担う予定です。よりチームの核として活躍していきたいです」と熱く語ってくれた。
全日本の選考会に呼ばれるようになってから、全国でも通用する選手を目指すようになったという。チームの目標は東北リーグを制し、全日本学生選手権への出場を果たすこと。「個人としても、東北地区を代表する選手になり、全国で注目される存在になりたい」と語る小柳さん。その姿勢はチームメイトにも良い影響を与えている。

試合を制すのは基礎の徹底
「大事な試合ほど、ビッグプレーが求められるイメージがあるかもしれませんが、最後に結果を左右するのは当たり前をどれだけ徹底できるかだと思います」。日々の練習では基礎を疎かにせず、確実なキャッチ&パス、的確なフットワーク、身体をぶつけ合う対人練習を繰り返し行う。
接触の多いラクロスだからこそ、フィジカル面の強化にも抜かりはない。「対人競技なので、当たり負けしない体づくりを大切にしています。朝は6時から練習、オフの日でもジムに行きます。体を動かすことで1日のメリハリが生まれるんですよね」と小柳さんは話す。「短期的な成果は得られなくても、続けることでしか得られない経験を大切にしています」。
ラクロス部のメンバーの仲も非常に良いそうだ。「勝ち負けを共有してきたので一生の友達になると思いますね」と笑顔を見せた。最も印象に残っている試合は1年時の新人戦。「練習では立てなくなるくらい走りましたね。人数が少ない中、みんなで頑張ったことを覚えています。その分、優勝の瞬間は最高でした」と振り返った。

甲子園を目指した日々
小柳さんの努力の原点は、地元・奥州市での野球経験にある。「一番の思い出は甲子園を目指して仲間と切磋琢磨した時間です」という。「高校時代はそんなに活躍できなかったんですけど、あの経験は今後に絶対活きると思っています」と水沢高校で過ごした日々を振り返った。
同級生の活躍にも刺激を受けているそうだ。「野球を続けている同級生たちの活躍を聞くと嬉しいですね」と笑顔を見せた。「何をしているか心配な人もいたりいなかったりしますが、最高のチームメイトです」。かつて同じチームで汗を流した仲間が今もそれぞれの道で努力を続けている事実が何よりも心強いという。
野球で培った粘り強さが、ラクロスの練習や大学での勉強、公務員試験の対策へと脈々と受け継がれている。「同級生たちが頑張っているのを聞くと自分もやる気が出るので良い刺激になっています」。この思いが凝縮された言葉が、競技を続ける上でも、そして新たな道を切り開く上でも大きな支えとなっている。

スポーツ振興で地域を活性化
将来は公務員としてスポーツを通じた地域振興に関わることを目標に据えている。「奥州市を含めた地域社会で、人々が安心して暮らせる仕組みをつくりたいです。スポーツの力で地域を元気にすることにも挑戦したいです」と語るその姿には、地元への深い愛着が感じられた。
公務員試験の対策にも余念がない。早朝練習を終えた後に講義へ向かい、空き時間に問題演習を進める。そんなタイトなスケジュールで日々を駆け抜けている。「科目が多いので、とにかく授業との両立を意識しています。隙間時間を有効活用しつつ、ひたすらアウトプットとフィードバックを繰り返しています」と苦しそうに笑った。
奥州市の思い出の場所は、前沢のバッティングセンター。「昔から慣れ親しんだ場所で、のどかな雰囲気が好きです。また時間がある時に行きたいですね」。落ち着いた雰囲気の街が一番良いという。「大きいショッピングモールとかは無いですけど、落ち着いて過ごせるところが奥州市の良さだと思います」

Q & A
Q.部内の雰囲気は?
A.かなりアットホームで、学年を超えて仲が良いです。冬のオフシーズンでもスノボに行ったりします。1〜4年生の少人数グループで自主練したりご飯に行ったりするので壁はないと思います。
Q.原動力は何ですか?
A.一緒に頑張っているチームメイトや応援してくれてる人の期待に応えたいことが原動力だと思います。自分のためよりも誰かのために頑張ってる時の方がやる気がでたりします。
Q.将来どんな公務員を目指していますか?
A.地域のスポーツ振興に携わりたいです。スポーツが持つエネルギーを行政の仕事にも活かして、相乗効果を図りたいです。
Q.法学で興味のあるテーマはなんですか?
A.特に生存権や死刑制度など、人権の根幹に関わるテーマに興味があります。現行の制度を違う視点から見つめ直す作業は想像以上に骨が折れますが、やりがいがあります。
Q.応援してくれる家族や友人へ一言お願いします。
A.いつも支えてくださりありがとうございます。大きな怪我をしたり、壁にぶつかることもありましたが最後まで頑張ります!応援よろしくお願いします!
「続けることでしか得られない経験を大切に」

小柳颯斗さん
こやなぎ・はやと。奥州市出身。岩手大学人文社会科学部3年。高校まで野球に打ち込んだが、大学でラクロスに転向。ラクロス部ではオフェンスの要を担う。帰省は年に2、3回程度で、冬のオフや長期休暇中に地元で過ごすのが定番。趣味は洋画鑑賞と筋トレ。「朝イチで体を動かす習慣が学業にもいい影響を与える」と力説。
【編集後記】「挑戦し続ける姿にエールを」市民記者 吉田未来

今回、小柳さんにお話を伺ってみて、野球からラクロスへと競技をシフトし、新たなステージで活躍している姿がとても新鮮でした。ラクロスの話をしている時の楽しそうな表情や、部活の仲間と支え合うエピソードからは、「熱中できるものがあるっていいな」と素直に刺激を受けました。
また、「同級生たちが頑張っていると自分もやる気が出る」という言葉には、仲間に対する温かい思いがあふれていて、こうした人間関係が小柳さんの頑張りを支えているのだと感じました。これからの活躍がますます楽しみです。私も地元の皆さんと一緒に、小柳さんの挑戦を応援していきたいと思います。
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更新日:2025年02月28日