市民記者リポート「“負けてたまるか”の先に 支えに応える決意」(第7回)

更新日:2025年09月16日

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千葉商科大学で学生記者として活動している千葉瑞希さんが市民記者となり、奥州市出身の大学生の活躍を紹介するプロジェクトの第7回(今年度第2回)です。

日本各地で活躍する奥州市出身の大学生

(文・市民記者 千葉瑞希)

国士舘大学で学びながらサッカーに打ち込む加藤志門さん(奥州市胆沢出身)。地元・奥州を離れて関東で挑戦を続ける原動力や、大学進学の魅力について話を聞いた。

 

インタビューに応える加藤志門さん

兄の背中を追って始まったサッカー人生

加藤さんがサッカーを始めたのは小学3 年生のとき。先に競技を始めていた兄の影響を受け、奥州市の若柳サッカースポーツ少年団に入団した。幼い頃から「プロ選手として活躍したい」という夢を胸に、ボールを追いかける日々を送った。
初めて公式戦に出場した当時は、ポジションの概念もまだ曖昧で、選手たちは一斉にボールに集まる“だんごサッカー”のような状態だったという。「とにかくボールに触っていたくて、パスも出さずに自分で突っ走っていましたね」と、笑いながら当時を振り返る。

高校で全国の舞台へ 副キャプテンとしての覚悟

中学校卒業後は、強豪・花巻東高校に進学。奥州を離れた花巻の地で、高校サッカーに全力を注いだ。加藤さんが在籍していた当時、花巻東高校サッカー部はまだ全国大会への出場経験がなかったが、副キャプテンとしてチームを牽引し、ついに全国大会への切符を手にした。
「副キャプテンという立場でしたが、自分の中では“キャプテンのつもり”で取り組んでいました。誰よりも率先して行動し、チームの士気を高めることを意識していました」と、誇りを込めて語る。

大学進学で直面した関東の壁と挫折

大学進学を機に上京し、国士舘大学サッカー部に入部。意欲に満ちてスタートした大学生活だったが、すぐに関東のレベルの高さに直面したという。部員は約200 人。5 つのカテゴリーに分かれており、入部当初は真ん中のカテゴリーからのスタートだった。
「まずはここから這い上がっていこうと意気込んでいた矢先、2 年生の秋に膝を怪我してしまって。昇格を目指していたタイミングだったので、正直すごく悔しかったです。『なんで今なんだ』『運が悪い』と落ち込んだこともありました」
しかしその苦難にも負けず、リハビリを経て再びピッチに戻った。「負けてたまるかという気持ちが強かったです。どんな形でも結果を出して、自分の存在を証明したいと思っていました」。現在も昇格を目指して努力を重ねている。

支えとなる家族と仲間の存在

加藤さんは年末年始やお盆などの⾧期休みに地元・奥州市に帰省し、小・中学校時代の友人たちとお泊まり会を開くのが恒例になっているという。久しぶりに再会する仲間たちとの会話は、将来の夢や近況報告など多岐にわたり、大きな刺激になっている。
「友達がそれぞれの道で頑張っている話を聞くと、自分も頑張らなきゃって思えるんです。今でもお互いに切磋琢磨できる関係性があるのは本当にありがたいです」。
そして、何よりも大きな支えになっているのが家族の存在だ。「どんな時も味方でいてくれる。つらいときでも、自分を信じて応援してくれる家族がいるからこそ、前を向いて頑張れます」と感謝の思いを語る。

消防士になるという新たな夢に向かって

現在、加藤さんは将来の夢である消防士を目指し、サッカーと勉学の両立に励んでいる。「人の役に立ちたい、誰かを守れる存在になりたい」という思いが、消防士という職業に向かうきっかけとなった。
「サッカーとの両立は正直簡単じゃないです。でも、どちらも中途半端にしたくない。支えてくれる人たちへの恩返しのためにも、全力で目の前のことに取り組みたいです」。強い意志と感謝の気持ちを胸に、加藤さんの挑戦はこれからも続いていく。

Q & A

Q.奥州市での小中学校の思い出は何ですか?
A. 自然豊かな胆沢で生まれ育ったので、毎日のびのびと外を駆け回っていた記憶があります。今思うと貴重な経験ですね。

Q. 練習と学業の両立はどのようにしていますか?
A. 練習が多い中ですが授業に集中してしっかりと取り組むことを心がけています。

Q. 休日はどう過ごしていますか?
A. 友達と出かけることが多いです。最近はサウナにハマっていて、オフの日にサウナに行くことを楽しみにしています。

Q. サッカーを続けてきて印象に残っている場面は?
A. 高校時代に初めて県大会で優勝し、全国大会への出場を決めたときです。花巻東高校サッカー部の歴史を変えた瞬間でしたから。

「高め合える仲間を大切に」

加藤志門さん

かとう・しもん。奥州市出身。国士舘大学21世紀アジア学部3年。同大学サッカー部でボランチとしてチームの司令塔を担う。オフの日はチームメイトとサウナやカフェでリフレッシュ。「サッカーではライバルですが、寮生活を共にしているのでもはや家族のような存在です」。

【編集後記】「原点を胸に 挑戦は続く」 市民記者 千葉瑞希

今回加藤さんへのインタビュー中、同じクラスで過ごした中学時代の思い出話になり、「あの頃に戻りたい」とこぼす姿が印象的でした。その言葉には、奥州市で過ごした時間への愛着と、今の挑戦への強い覚悟がにじんでいるように思います。道のりは決して平坦なものではありませんが、周囲の支えと自分の信念を力に変え、目標に向かって歩む姿をこれからも応援しようと思います。

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