市民記者リポート「スポーツの楽しさを多くの人へ 経験を糧に」(第8回)

更新日:2026年02月05日

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千葉商科大学で学生記者として活動している千葉瑞希さんが市民記者となり、奥州市出身の大学生の活躍を紹介するプロジェクトの第8回(今年度第3回)です。

日本各地で活躍する奥州市出身の大学生

(文・市民記者 千葉瑞希)

北海道教育大学で、スポーツ指導の勉強とソフトテニスに励む佐藤ちさとさん(奥州市胆沢出身)。小学生の時からソフトテニスをプレーし続け、今もなお真摯に競技と向き合う。地元を離れ、ソフトテニスに向き合う原動力や、大学で得た学び、見据える未来などを伺った。

 

インタビューに応える佐藤ちさとさん

大学でのテニス生活

小学校3年生でソフトテニスを始めた佐藤さん。その競技歴は10年に及ぶ。幼い頃からラケットを握り続けてきた佐藤さんにとって、ソフトテニスは生活の一部とも言える存在だ。進学先の北海道教育大学石見沢校でも競技を続けたいと考えていたが、入学当時、大学にはソフトテニス部が存在していなかった。そのため、当初は社会人サークルなどに所属し、競技を続けるつもりでいたという。

しかし、ちょうどそのタイミングでソフトテニス部が新たに設立され、声を掛けられた。「正直新設の団体でプレーすることに不安はありましたが、先輩方の熱意に押されて決めました」。迷いはあったものの、これまで積み重ねてきた競技経験を無駄にしたくないという思いが、背中を押した。

新設された部の雰囲気は穏やかで、和やかな空気に包まれている。一方で、「常に自分を追い込みたいタイプ」だという佐藤さんにとっては、どこか物足りなさを感じる部分もあるという。それでも、「いいタイミングでこの環境に来ることができました。環境には恵まれているので、頑張ってどうにかなることは、とことん頑張ろうという気持ちです」と、前向きな姿勢を崩さない。

今後のソフトテニスとの向き合い方について、佐藤さんは「自分のために努力すること」を大切にしたいと強調する。その言葉の背景には、中学時代のある経験が深く関わっていた。

コロナに阻まれた全国への夢

これまでの競技生活で最も印象に残っている出来事を尋ねると、佐藤さんは少し表情を曇らせ、「中学時代に出場が決まっていた全国大会が、コロナの影響で中止になったことです」と語った。

佐藤さんが中学生だった当時は、新型コロナウイルスの感染拡大により、部活動だけでなく日常の学校生活さえ制限されていた時期だ。中学最後の中総体も開催されず、努力の成果を発揮する場を失った。「なんで今なのか、なんで私たちなのか。悔しくて悔しくて、なかなか立ち直れませんでした」と、その胸中を明かす。

それでも、当時の仲間と共に練習し、同じ目標に向かって過ごした時間は、今でもかけがえのない宝物だという。

「中学時代は、自分のためというより、誰かのために頑張っていました」。顧問の先生や一緒に努力してきた仲間、家族の期待に応えたいという思いが強く、その分、必要以上の重圧を背負ってしまうこともあった。モチベーションの維持が難しくなることもあり、競技との向き合い方に悩んだ時期だった。

競技の先に見据える未来

現在、佐藤さんは同大学のスポーツコーチング科学コースで学んでいる。将来はソフトテニスの指導者として、高校時代にお世話になった恩師を支えられる存在になることが目標だ。「とにかく、勝てる選手を育てたいです」と、力強く語る。そこには、自身が競技者として味わった悔しさや葛藤を、次の世代につなげたいという思いがある。

またこの思いの根底には、中学時代の監督へのリスペクトもあるのだそうだ。当時の胆沢中学女子ソフトテニス部の監督のもとで佐藤さんは、主にラリーを組み立てる後衛から、ネット際で決定打を狙う前衛への転向を果たしている。当時の監督の指導のおかげで、習得が難しいとされる前衛のノウハウを身に付けた。「当時の先生のように、前衛への指導ができるようになったら1人前ですかね」と佐藤さんは微笑む。

さらに佐藤さんには、もう一つの大きな夢がある。それは、アダプテットスポーツの普及に携わることだ。アダプテットスポーツとは、障害の有無に関係なく、個々の身体状況に合わせてルールや用具を工夫し、誰もが平等に楽しめるスポーツのことを指す。

佐藤さんは障害のある姉を持つことから、「スポーツを楽しみたい気持ちは誰でも同じだと感じてきました」と話す。だからこそ、競技の枠を超え、多くの人がスポーツを通じて笑顔になれる環境づくりに関わりたいと考えている。

奥州市をはじめとする地方でのアダプテットスポーツの普及はまだ十分ではない。アダプテットスポーツを体験できる施設や指導者、イベントが少なく、参加の機会が限られているのが現状だ。佐藤さんは「指導者になってアダプテットスポーツを全国に広めて、誰かの力になれたら」と意気込む。

競技者として、そして未来の指導者として。佐藤さんはこれまでの経験を糧に、自分自身のため、そして誰かの可能性を広げるために、歩みを進めている。

tenis

Q & A

Q.帰省の頻度と、帰省時に決まってすることは?
A. 年に2回ほど帰りますが、部活があるので長くはいられません。父とラーメンを食べに行ったり、愛犬の散歩をしたりします。

Q. ソフトテニスでの目標は?
A. 北海道で入賞して、岩見沢校のソフトテニス部をアピールしたいです。

Q. 大学進学のメリットは?
A. 自分のやりたいことに没頭できる点です。興味ある分野の専門知識を学ぶことは楽しくて、将来の選択肢が広がる感じがします。

Q.  奥州市の好きなところは?
A. 人の優しさです。北海道の人も優しいですが、奥州市は人の温かさを感じます。

「高め合える仲間を大切に」

佐藤ちさとさん

さとう・ちさと。奥州市出身。北海道教育大学教育学部スポーツコーチング科学コース2年。同大学石見沢校の新設のソフトテニス部で前衛を担う。力強いバックハンドが持ち味。「大変なことが多かったけど、中学でのソフトテニスが一番楽しかったです」。

【編集後記】「着実な努力の証」 市民記者 千葉瑞希

インタビューで中学時代のソフトテニスについて話を聞くと、2年前の出来事であるにもかかわらず、佐藤さんは当時の悔しさを新鮮ににじませながら語っており、その姿が印象的だった。当時も今もソフトテニスに真摯に向き合い、着実に努力を重ねてきた軌跡が垣間見えた。また、今回初めてアダプテットスポーツを知ったが、だれでも気軽に楽しめるスポーツの形として徐々にその輪を広げているようだ。誰にとってもスポーツが身近になる社会に向けて、佐藤さんはその一助になっていくだろう。

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