市民記者リポート「奥州市のためになにができるか 自分の使命とは」(第9回)
千葉商科大学で学生記者として活動している千葉瑞希さんが市民記者となり、奥州市出身の大学生の活躍を紹介するプロジェクトの第9回(今年度第4回)です。
日本各地で活躍する奥州市出身の大学生
(文・市民記者 千葉瑞希)
千葉商科大学で経営を学ぶ小澤晃さん(奥州市江刺出身)。令和6年度奥州市「二十歳のつどい」では実行委員⾧を務め、式典を成功に導いた人物だ。節目の式典を支えた小澤さんは、大学生活の中でどのような経験を積み、何を大切にしてきたのか。その歩みを追った。

インタビューに応える小澤晃さん
「二十歳のつどい」実行委員⾧に挑戦
「もともと目立ちたがりな性格なんです」と、笑顔で語る小澤さん。高校3年生の頃から「二十歳のつどい」の実行委員に関心を持ち始め、大学2年生の時に委員に立候補。最終的には委員長という重責を担うことになった。
準備期間については、「やれないことはないでしょ、というかなり軽い気持ちで挑戦しました。でも、いざ始まると想像以上に大変でした」と苦笑交じりに振り返る。それでも、「とにかくやることが多くて忙しかったですが、その分やりがいもあって楽しかったですね」と語る表情からは、充実感がにじむ。
大学の授業やアルバイト、インターンと並行して実行委員の活動をこなす日々は、決して楽ではなかったはずだ。それでも小澤さんを突き動かしたのは、「式典当日に、みんなの顔を直接見たい」という強い思いだった。「地元を離れて2年近く経っていたので、久しぶりに友人たちに会えた喜びは格別でした」。
式典当日、小澤さんは壇上から、「失敗してもいい。支え合って新しい時代を切り開いていきましょう」と、同級生たちに呼びかけた。
集団の中で培った広い視野を活かして
小澤さんは自身の強みとして、「俯瞰力の高さ」を挙げる。俯瞰力とは、物事を一歩引いた視点から捉え、全体の流れや構造を理解する力のことだ。江刺南中学校時代には生徒会長を務め、奥州市の海外交流事業に参加した経験を持つ。「中学時代までは、自然とリーダー的な役割を任されることが多かったです。その経験を通して、周囲を見渡しながら判断し、行動する力が身に付きました」と振り返る。
一方、進学した花巻南高校では、あえて目立った役職には就かなかったという。「学校でも野球部でも、率いる側ではなく一メンバーとして活動しました」。リーダーではない立場で集団に関わったことで、「下の立場にいたからこそ、自分自身や、集団全体を客観的に見られるようになった気がします」と語る。リーダーとフォロワー、両方の立場を経験したことが、現在の小澤さんの視野の広さにつながっている。

学食経営でさらなるスキルアップへ
現在、小澤さんは千葉商科大学で学生ベンチャー食堂「兎なり」の中心メンバーとして、実際の経営に携わっている。きっかけは、高校時代に野球部の対戦を通じて知り合った、青森県出身の同大学生からの声掛けだった。「彼から話を持ち掛けられて、面白そうと思ったのが始まりです」。
小澤さんは大学1年生の時に、同大学の他の学生ベンチャー食堂でアルバイトした経験があり、経営のイメージはついていたという。活動は今年3月から本格化し、メニューの考案と試作、仕入れ先の選定、原価計算やコスト削減、広報・宣伝方法の検討など、学生の枠を超えた課題に次々と向き合ってきた。
さらに、学生アルバイトの採用やシフト管理、人材育成なども重要な仕事だった。「特に難しかったのは、“売る側を育てる”ことです」。事業が軌道に乗るにつれ、小澤さん自身は現場に立つよりも、全体を調整するマネージャー的な立場へと変化していったという。指導する立場として、「言い方には気を付けました」と話す。アルバイトの経験がない学生スタッフに対し、どのような伝え方が本人の学びになるのか、試行錯誤を重ねたのだそうだ。「自分が前に出るよりも、周囲が動きやすい環境をつくることの大切さを学びました」。この経験は、経営を学ぶ上でも大きな糧になっている。

県外進学した意義を深く考える日々
将来について尋ねると、「いずれは地元・奥州に帰りたい気持ちが強いです」と即答した。「自分がこれから何を残していけるのか、ということをよく考えています」。一度地元を離れからこそ、帰って働くことの意味をより深く考えるようになった。「奥州市に帰って働きます、と言うと地元の人には感謝されることが多いですが、それに留まらず、経験を活かしてもっともっと奥州市に貢献したいです」と小澤さんは意気込んだ。
大学で培った経営の知識や、人と人をつなぐ経験を生かし、奥州市の魅力をより良い形で発信し、未来へつないでいきたい。小澤さんは、静かな決意を胸に、次の一歩を見据えている。
Q & A
Q. 奥州市での小中学生時代の思い出は何ですか?
A. 野球です。たくさん経験値を蓄えられたし、野球を通じてできた友達も宝物です。
Q. 休日はどう過ごしていますか?
A. ランニングしたりバイトしたり、のびのびしてます。8 割くらいはバイトですが…(笑)
Q. 野球部時代に印象に残っていることは?
A. 高校の時の秋の大会でベスト 4 に入れたことです。宝物のような経験です。
Q. 奥州市への帰省の頻度は?
A. 半年に 1 度くらいでしたが最近は余裕ができて頻度が増えました。奥州市最高!
「奥州市は素晴らしい」

小澤晃さん
おざわ・きら。奥州市出身。千葉商科大学商経学部経営学科 3 年。帰省時には、小学生の時から野球の練習をしていた藤里のグラウンドに立ち寄る。奥州市の好きなところを尋ねると「人が優しい、緑がきれい、空気もきれい、素晴らしい」と誇らしげ。
【編集後記】「地元愛が未来への原動力」 市民記者 千葉瑞希

取材を通して、小澤さんの言葉の一つひとつから、地元への率直な思いと覚悟が伝わってきた。私自身も現在は県外に出ており、将来は地元で働きたいと考えている。一度外に出たからこそ見える地元の良さや課題があり、それをどう生かせるのかを考える日々だ。 小澤さんのように「何を残していけるのか」を考え続ける姿勢は、これから地元と関わっていく上での大切な指針になると感じている。小澤さんと同じように、外で得た経験を力に変え、岩手の未来につなげていける存在でありたい。取材を終えた今、その思いを新たにしている。
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更新日:2026年02月18日