令和5年度政策提言
奥州市議会では、市政における課題の解決を図るため必要と思われる政策を提言書としてまとめています。提言書は、全て議場において「政策決議提案」され、市長等に対し、その施策の実行を強力に要請しています。
『奥州市議会政策立案等に関するガイドライン』は下記リンクからご覧ください。
1 立地適正化計画策定後の事業展開に関する政策提言書 (令和5年6月28日)
立地適正化計画策定後の事業展開に関する政策提言書 (PDFファイル: 13.0MB)
「立地適正化計画策定後の事業展開に関する政策提言書」提出に関する決議
人口減少が課題とされるようになって久しい。それは都市機能にも様々な影響を与えており、中心市街地では商業活性が低下し、人の往来も閑散とし、街の魅力が減退しているほか、郊外へと拡大していった安価な宅地がまちなかの住宅需要を低下させ、空き家化が進む。急速な人口減少で増加する空き家は、新たな都市問題としてクローズアップされ、老朽化や未活用は、地域の景観や安全性に悪影響を及ぼし、若者や新しい住民の流入を阻害する要因ともなり、新たな投資を生み出せない負のスパイラルに陥っている。
いわゆるまちなかのスポンジ化は、地域再編の必要性を示し、私権が寛容される傾向にある日本の土地利用体系にあっては、都市計画や立地適正化計画上での調整がなされない限り、問題として放置され続ける。今こそ関係者や市民は自分事として意見や声を積極的に発し、様々な事業実施主体がこれを吸収し、協働に取り組まなければならない。
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、すべての人々の活動に制約を課すものとなり、まちなかから人影が消える事態にもなったが、場所を選ばないオンラインの活用は、地域からの人の流出を抑制し、受け入れるきっかけにもなり、空き家や商業施設をカフェやコワーキングスペースに転用したり、新たな人材によって地域を盛り上げられる可能性を秘める一方で、中心市街地の象徴だった商業施設メイプルは、営業を停止し、市の取得でビジネス、学びや交流、公共ゾーンとしての活用を目指すこととなり、まちの持続可能性はこれからが正念場を迎える。
奥州市議会建設環境常任委員会としても、まちづくりの未来を見据えた立地適正化計画が策定されようとしているこの段階で様々な調査活動を行ってきたところであり、同計画策定後の事業展開に関する課題解決のため、下記事項を要旨とする「立地適正化計画策定後の事業展開に関する政策提言書」を別冊のとおり取りまとめたので、これを市に対し提出し、もって、この政策に基づく施策の実施について提言表明する。
市民からの納得と協力を得ながら、関係するすべての人々のまちづくりに資する取組によってエリアマネジメントが展開され、まちなかにおける賑わいが取り戻されることを切に望むものである。
記
1 まちの将来像を市民と共有できるグランドデザインを意識した都市計画・立地適正化計画にするため、協働のまちづくりで地域の特色を生かしたエリアマネジメントを展開できるようにすること。
2 まちづくりを担うキーパーソンを輩出する育成サイクルを構築し、後世に人を遺す取組を推進すること。
3 各地域の都市再生整備計画を速やかに策定し、国制度に基づく有利な財源措置を獲得しながら、各種誘導施策を実現すること。
以上、決議する。
令和5年6月28日
奥州市議会
2 中途失明予防から始める健康増進に関する政策提言書(令和5年9月29日)
中途失明予防から始める健康増進に関する政策提言書 (PDFファイル: 8.0MB)
「中途失明予防から始める健康増進に関する政策提言書」提出に関する決議
世界的な人口増加や、高齢化、コロナ禍で急速に広がるオンラインサービスやテレ
ワーク等によるデジタル機器の使用頻度の増加などにより、眼疾患は今後ますます増
加すると予想されている。
2021年にはWHOの最高意思決定機関である世界保健総会と国連総会で、ともに初
となる目の健康に関する決議が採択され、世界的に目の健康に対する関心が大きく高
まっている。
日本においては、緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性に加え、
更に深刻な眼疾患を引き起こす原因にもつながる白内障の患者も多数おり、多くの人
が失明のリスクをはらんでいる。早期に治療すれば完治できたものが手遅れになるケ
ースが多い。
平均寿命が伸びている現代において、「見える目」を維持することは心身の気力を
充実させ、健康寿命をさらに伸ばすために重要なことである。
今般、市民がますます元気に活力ある人生を送ることができるように、「見える目
」を維持しもって健康寿命の延伸を図るため、下記事項を主軸とする「中途失明予防
から始める健康増進に関する政策提言書」を別冊のとおり取りまとめたので、これを
市に対し提出し、もって、この政策に基づく施策の実施について提言表明する。
この提言に基づく政策により、一人でも多くの市民が中途失明から回避されること
を強く望むものである。
記
1 市民への中途失明に関する情報の提供・周知を行うこと
2 自分自身で目の異常に気付くきっかけづくりを行うこと
3 視覚障がいが各世代に与える影響を伝えること
4 目の疾患を早期発見できる健診体制を確立すること
以上、決議する。
令和5年9月29日
奥州市議会
3 移住・定住施策に関する政策提言書 (令和5年12月19日)
移住・定住施策に関する政策提言書 (PDFファイル: 8.8MB)
「移住・定住施策に関する政策提言書」提出に関する決議
人口減少、少子化問題は奥州市のみならず全国的な大きな課題である。
人口減少対策は総合デパートと例えられ、各自治体では子育て環境、公共交通、教育・福祉環境、雇用・道路環境など幅広い施策を行っているものの、人口減少に歯止めがかからず、本市においても同様の状況にある。
奥州市人口ビジョンの独自推計によれば2040年の予想人口は、2020年国勢調査時の人口より約19,000人少ない94,000人台になると推計されている。人口減少の進行は、空き家の増加をはじめ、地域の担い手や介護士等の不足、地域経済の衰退等を招き、地域の活力が低下するなど本市にとって重大な課題である。
奥州市議会としても、人口減少の問題は当市の大きな課題の一つと捉え、総務常任委員会では、「移住者や定住者を増やす」ことを活動のテーマに掲げ、これまで、当市の現状を把握するための所管事務調査や他市の先進的な取組を学ぶための行政視察を実施するとともに、「市民と議員の懇談会」において多くのご意見を頂戴するなど、移住・定住に関わる課題解決に向けて鋭意検討を重ねてきたところである。
このような経過により、当委員会において、下記事項を要旨とする「移住・定住施策に関する政策提言書」を別冊のとおり取りまとめたので、これを市に提出し、もって、この政策に基づく施策の実施について提言表明する。
記
1 効果的な情報発信の手法を検討するとともに積極的な関係人口の創出に取り組むこと
2 移住に至るまでの段階に応じた多様な施策の導入を検討すること
3 移住・定住を促す推進体制及び相談・サポート体制を強化するとともに移住者同士が交流できる仕組みを構築すること
以上、決議する。
令和5年12月19日
奥州市議会
4 奥州市のものづくり産業の振興に関する政策提言書 (令和5年12月19日)
奥州市のものづくり産業の振興に関する政策提言書 (PDFファイル: 2.6MB)
「奥州市のものづくり産業の振興に関する政策提言書」提出に関する決議
奥州市は、中山間地域から平野まで開けた土地を有し、稲作を中心とした複合型農業により、県内屈指の農業地帯となっているほか、交通の利便性の良さを背景に、県内でも屈指の商業集積が進み、工業団地等が整備され、伝統産業や基幹産業の事業展開が図られてきた。
これらの産業をとりまく環境は、近年、少子高齢化による人口減少やライフスタイルの多様化、経済のグローバル化による競争の激化などにより、大きく変化を遂げている。また、脱炭素を始めとする自然環境の配慮やSDGsの取り組みなどへの対応に加え、デジタル化の進展に対応したデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進に取り組むことも重要となっている。
このように、人口減少など社会環境が大きく変化する中で、これからも持続的で活力ある地域社会と地域経済を形成していくためには、地域が一体となって知恵や技術を磨き上げ、新たな価値を創出し、魅力と活力ある奥州市を次世代へ引き継いでいくことが重要であり、時代にあった振興策が必要である。特にも、今回、産業経済常任委員会の政策提言で取り上げる「ものづくり産業」、いわゆる製造業は、事業所数が県内第1位であるとともに、今後江刺フロンティアパーク2.の造成により、1,400人余の新規雇用が生じる見込みであること等、本市における経済成長や雇用に大きな影響を与える主要産業である。
本市の「ものづくり産業」については、市当局が取り組んでいる工業団地の整備や積極的な企業誘致、産学官連携による新産業創出等の様々な施策により、その振興に一定の効果が出ている一方で、既存の事業所における担い手不足、人材流出への懸念、さらには誘致企業との連携が進んでいないといった課題も生じている。
今般、本市の「ものづくり産業」の構造が大きく変化していく状況の中、議会と行政が市政運営の車の両輪として手を取り合い、時代にあった「ものづくり産業」の振興策がより一層持続的に図られることを願い、ここに政策提言を行うものである。
記
1 ものづくり産業のさらなる成長を図るため、「(仮称)奥州市ものづくり産業振興ビジョン」を策定し、時代の変化に対応した取組を実施すること。
2 現在の企業支援室の機能を発展及び拡充させた「(仮称)奥州市産業支援センター」を組織し、ものづくり産業と農業、林業、商業及び観光業などの他産業との連携支援を推進する拠点とすること。
3 奥州市のものづくり産業の成長と発展のための根幹である人材の育成と確保に関する取組を早急に実施すること。
以上、決議する。
令和5年12月19日
奥州市議会
この記事に関するお問い合わせ先
- みなさまのご意見をお聞かせください
-
更新日:2023年12月19日