令和3年第2回定例会 意見書・決議文

更新日:2023年09月29日

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「将来の公共施設の在り方に関する政策提言書」提出に関する決議

 公共施設については、平成24年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル天井崩落事故をきっかけに老朽化に対する注目が集まると同時に、高度経済成長期に整備されてきた公共施設が一斉に更新時期を迎えていることに対する危機感が高まってきた。しかし、地方公共団体の財政は大変厳しく、施設の建て替えや修繕等に要する予算は圧迫されており、その所有する全ての施設を維持していくことは困難な状況にある。

 当市においてもその状況は例外ではなく、人口減少に伴う税収減に加え、既存施設の老朽化、市町村合併による類似施設の重複など多くの課題を抱えており、その負担は市の財政に大きな影響を与えることが見込まれている。

 奥州市議会としても、公共施設の更新問題は当市の大きな課題の一つと捉え、総務常任委員会では、「将来の公共施設の在り方」を活動のテーマに掲げ、今日まで継続した委員会活動を進めてきた。これまで、当市の現状を把握するための所管事務調査や他市の先進的な取組みを学ぶための行政視察を実施するとともに、「市民と議員の懇談会」において多くのご意見を頂戴するなど、公共施設に関わる課題解決に向けて鋭意検討を重ねてきたところである。

 このような経過により、当委員会において、下記事項を要旨とする「将来の公共施設の在り方に関する政策提言書」を別冊のとおり取りまとめたので、これを市に提出し、もって、この政策に基づく施策の実施について提言表明する。

  1.  公共施設の配置は、急速な人口減少と超高齢化社会の到来を踏まえ検討していくことが重要であることから、まちづくりの将来像や各種計画との整合性を図るとともに、市民の満足度を高める魅力ある施設を再構築すること。
  2.  公共施設の機能を一定の水準に保ちながら長期的に使用していくためには、ライフサイクルコストを縮減しながら長寿命化を図ることが不可欠であることから利用者の安全確保と施設の長寿命化に向けた計画的な予防保全を推進し、効率的な維持管理体制を確立すること。
  3.  公共施設の運営は、組織を横断した全庁的な最適化への転換並びに市民及び職員が共通認識を持って取り組む必要があることから、戦略的な公共施設マネジメントの推進体制並びに市民理解の醸成及び市民参画を促す仕組みを構築すること。

 以上、決議する。

 令和3年6月22日

奥州市議会

演台の前でスーツ姿の男性が提言書を市長に手渡しお辞儀をしている写真

議場において中西秀俊総務常任委員会委員長が市長に政策提言書を手渡す様子

選択的夫婦別姓制度について法制化を求める意見書

 夫婦が望む場合には、結婚後もそれぞれ結婚前の氏(姓)を称することを認める選択的夫婦別姓制度が1996年に法制審議会に答申され、既に四半世紀を迎える。

 2015年12月、最高裁判所においては、夫婦同姓規定自体は合憲と判断したが、同時に選択的夫婦別姓については「合理性が無いと断ずるものではない」と言及し、制度の在り方については、「国会で論じられ、判断されるべき」としたところである。

 多くの国民が切実な思いで法改正を待ち望んでいる中、2020年12月25日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画では、「選択的夫婦別姓」の文言が削除され、「旧姓使用」の拡大の方針が示されたが、法的行為、海外渡航、登記、投資、保険、納税、資格、論文の連続性などにおいて、法的根拠のない旧姓使用は不可となる場合が多いのが現状である。

 また、近年は初婚年齢が上昇し、男女ともに生まれ育った氏名(姓)で社会の信用、実績、資産等を築き初婚を迎えるケースも多く、改姓時に必要な事務手続は確実に増えており、戸籍姓でのキャリア継続を望むが故に事実婚を選択する夫婦も少なくないとみられる。

 2018年2月に内閣府が公表した世論調査では、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別姓制度の導入に賛成・容認と答えた国民は66.9%で、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかにされている。特にも30歳から39歳までの年齢層では、賛成・容認の割合は84.4%にものぼっている。

 選択的夫婦別姓制度は、家族で同じ姓の方が一体感が深まると考えるカップルにとっては、従前どおり夫婦同姓で結婚できる一方で、夫婦別姓が必要なカップルにとっては、それを選べるようにする制度であり、男女が改姓による不利益を案ずる事なく結婚・出産をし、老後も法的な家族として支え合える社会を実現することに繋がるものである。

 よって、奥州市議会は、国に対し速やかに民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を法制化することを求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和3年6月22日

 岩手県奥州市議会

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 法務大臣

東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出決定を撤回し、安全な処理・保管方法の確立を求める意見書

 政府は、福島県漁業協同組合連合会の要望に対し、ALPS処理水について「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」旨、明確に回答しているが、関係する漁業者の理解を得ることなく回答を覆し、海洋放出を決定したことは、漁業を基幹産業としている岩手県内を含む全国の漁業者及び被災地の人々の思いを踏みにじるものである。

 実際に海洋放出が行われた場合、自然環境への影響も懸念され、サケやサンマ、イカといった基幹魚種の不漁、コロナ禍での販路喪失、風評被害等、震災復興途上にある県内の水産業に多大な打撃を与えることは容易に想像されるものである。

 よって、科学的に安全性が確立されていない段階でのALPS処理水の海洋放出は、やめるべきである。

 併せて、政府決定に至る過程で技術的に不可能とされたトリチウムの除去についても、積極的な技術開発に取り組み、安全な処理・保管方法を確立するよう強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和3年6月22日


岩手県奥州市議会

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 農林水産大臣
  • 経済産業大臣
  • 環境大臣
  • 復興大臣

安全・安心の医療・介護の実現と国民のいのちと健康を守るための意見書

 2020年の新型コロナウイルスによるパンデミック(感染爆発)は、日本国内で「第4波」となり、新型コロナウイルスに感染して死亡した人は、4月26日時点で累計1万人を超えました。このことは、経済活動や国民生活にも深刻な影響を及ぼすと共に、「医療崩壊」などが取り沙汰され、国民のいのちと健康が脅かされる事態が広がりました。

 この感染症対応の経験から明らかになったことは、感染症病床や集中治療室の大幅な不足、それらを中心的に担っている公立・公的病院の重要性、医師・看護師・介護職員の人員不足、保健所の不足等の問題です。これらの諸問題の背景には、90年代後半から続いてきた医療・介護・福祉の社会保障の抑制策や公衆衛生施策の縮減があります。

 21世紀に入り、わずか20年の間に、SARS、新型インフルエンザ、MERS、そして今回の新型コロナウイルスと、新たなウイルス感染とのたたかいは短い間隔で求められ、今後も新たなウイルス感染への対応が必要になることは明らかです。

 今回の新型コロナウイルス感染対策の教訓を経て、国民のいのちと健康、暮らしを守るためにも、そして新たなウイルス感染や自然災害などの事態の際に経済活動への影響を最小限に抑え込むためにも、医療・介護・福祉、そして公衆衛生施策の拡充は、喫緊の課題です。

 以上を踏まえ、地域住民のいのちと健康を守る立場から下記の事項について国に対し要望します。

  1.  今後も発生が予想される新たな感染症拡大などの事態にも対応できるよう、医療、介護、福祉に充分な財源確保を行うこと。
  2.  公立公的病院の統合再編や地域医療構想を見直し、地域の声を踏まえた医療体制の充実を図ること。
  3.  安全・安心の医療・介護提供体制を確保するため、医師・看護師・医療技術職・介護職等を大幅に増員すること。
  4.  保健所の増設・保健師等の増員など公衆衛生行政の拡充を図ること。ウイルス研究、検査・検疫体制などを強化・拡充すること。
  5.  社会保障に関わる国民負担軽減を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 令和3年6月22日

岩手県奥州市議会

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣

新型コロナ禍による米価下落に対し政府による緊急対策を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症の影響による外食需要の減少により、2019年産米は過大な流通在庫が生まれ、全国的に米価が下落しており、全農岩手県本部の2020年産米概算金価格も60キログラムあたり前年より800円の値下がりとなりました。また、新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大により、在庫の過剰はますます深刻となっており、全国農業協同組合中央会は、今年6月の在庫を政府見通しよりも最大で16万トン増の228万トンになると試算し、今年産の米価について危機感を表しました。さらに、来年6月末の在庫に至っては50万トン増の250万トン超になると試算しており、来年も米価下落が懸念されることを指摘しています。

 現在、政府・県・市町村でも主食用米の生産を抑えるために飼料用米の作付け支援を拡充するなどの取組みが行われていますが、このままでは在庫はさらに増え、今年産の米価は下落することが危惧されています。これでは、多くの米農家が米づくりから撤退することにつながりかねず、地域社会も今後の安定的な食料供給も守ることができません。

 したがって、新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少に伴う過剰在庫分は、政府が責任をもって市場から隔離すべきであり、その責任を生産者や流通業者に押付けることは許されず、政府の責任による緊急買入れなどの特別な隔離措置が必要です。

 また、国内需要には必要のないミニマム・アクセス米が毎年77万トンも輸入され、このうちの40~60万トンが飼料用に販売されることから、国内産の飼料米の需要を奪っており、不要なミニマム・アクセス米の輸入数量調整など、国内産米優先の米政策に転換することが必要です。

 よって、コロナ禍というかつて経験したことのない危機的事態の中で、国においては、農業者の経営と地域経済を守るため、従来の政策的枠組みにとらわれず、下記の事項について速やかに対策をとるよう求めます。

  1.  新型コロナウイルス感染拡大の影響による米の過剰在庫は、政府が緊急買入れして需給環境を改善し、買い入れた米はコロナ禍などによる生活困窮者への食料支援、海外援助等で活用すること。
  2.  外国産米(ミニマム・アクセス米)の輸入は、当面の間、国産米の需給状況に応じて数量調整を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 令和3年6月22日

岩手県奥州市議会

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 農林水産大臣

この記事に関するお問い合わせ先

議会事務局 議事調査係
〒023-8501
岩手県奥州市水沢大手町1-1
電話番号:0197-34-1575
ファックス:0197-23-8199
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