平成29年第1回定例会 意見書・決議文
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- 意見書・決議文
「テロ等組織犯罪準備罪」を創設しないことを求める意見書
政府は、テロ対策を口実に共謀罪いわゆる「テロ等組織犯罪準備罪」法案を国会に提出したが、この法案は、国民の思想や良心の自由の制限につながる重大な問題を含んでいる。
この法案は、憲法で保障されている思想・信条内心の自由を侵すことはもとより、犯罪の被害が生じた場合にはその行為を懲罰するという近代刑法の原則に反する。また、特定の犯罪が実行される危険性のある合意が成立しているかどうかを捜査するため、市民の会話やメールなどを警察が違法に盗聴することで、監視する社会を生み出すとともに、自白の強制、司法取引による嘘の通告などによる冤罪が増大するおそれがある。
テロ等組織犯罪準備罪の対象とされる組織的犯罪集団の定義も曖昧で、幅広い市民運動や労働運動が監視・弾圧の対象となる危険性が払拭されていない。3月8日の参議院予算委員会において、金田勝年法務大臣が、「準備行為を伴う形での合意を処罰することは事実」であると答弁したように、実際に準備行為を行わなくても、「合意」、すなわち内心を処罰するというのは、過去3回廃案になった共謀罪そのものと何らかわらない。
この間、政府が主張してきた「一般人は対象にならない」、「準備行為を入れて想定した」、「共謀罪を創設しないと国連組織犯罪防止条約を批准できない」、「テロ対策ができない」、「東京オリンピック・パラリンピックが開催できない」などの謳い文句は、国会審議を通じて嘘やごまかしであったことが既に明らかとなっている。
さらに、金田勝年法務大臣は、あろうことか、「議案がでた後に審議すべき」などと、国会での審議を封鎖・妨害する内容の文書をマスコミに流した。これは、審議統制、国会軽視、議会制民主主義の否定の姿勢の表れである。このような人物を法務大臣に任命した安倍首相の責任は重大である。即刻辞任させるべきである。このような状況で法案を審議することは到底納得できない。
よって、「テロ等組織犯罪準備罪」を創設しないことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年3月24日
岩手県奥州市議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
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更新日:2023年09月29日