平成20年第2回定例会 意見書・決議文

更新日:2023年09月29日

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「平泉の文化遺産」の世界遺産登録を求める意見書

 平泉は、12世紀に奥州藤原氏による浄土思想を基調として完成された当時の日本の北方領域における政治・行政上の拠点であり、自然地形に順応して造られた施設とその周辺の農村は、世界に誇れる良好な文化的景観が形成されています。

 また、「平泉の文化遺産」の根底には、「平和」を求める精神と、人と自然が共に生きる「環境」の精神が深く根づいており、今の時代にあって、その普遍的価値はより一層、重要性が増してきております。

 本市では、平成20年の世界遺産登録を目指して岩手県、一関市及び平泉町と連携しながら取組みを展開してきましたが、本年5月に国際記念物遺跡会議(イコモス)から「登録延期」の勧告が示されたところであります。しかしながら奥州市民は、すべての人々が平和に暮らせるようにという浄土思想の理念は世界に対しても十分に貢献できるものと考えており、「平泉の文化遺産」は世界遺産に登録する価値があると確信しております。

 当市には、長者ヶ原廃寺跡と白鳥舘遺跡の2つの文化遺産があり、これまで先人が守ってきたように我々市民もまた、この人類共通の遺産を将来にわたり大切に守り伝えていかなければなりません。

 つきましては、「平泉の文化遺産」が本年7月の世界遺産委員会において、登録決定がなされるよう、国においてもなお一層の御尽力を賜りますよう要望いたします。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出いたします。

 平成20年6月23日

岩手県奥州市議会

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 外務大臣
  • 文部科学大臣
  • 文化庁長官

「岩手・宮城内陸地震」被害対策を求める意見書

 去る6月14日、岩手県内陸南部を震源とするマグニチュード7.2、震度6強の「岩手・宮城内陸地震」が発生し、岩手県と宮城県にまたがって甚大な被害が生じており、いまもなお余震が続く中で、更なる被害の拡大が心配されております。

 当市においても、6月25日現在で死者1名、負傷者32名、住家の被害228棟のほか、道路や学校などの公共施設を初め、農林地など多くの箇所で被害を受け、被害額も相当な規模に達するものと考えられております。

 現在、被災地においては、県、市、陸上自衛隊、ボランティア等が一丸となって復旧と被災者の生活再建に努めているところでありますが、被災地の完全復旧には、多大な時間と労力や経費を要するものと思量されます。

 よって、このような状況をご理解いただき、政府におかれましては、災害被災地の早期復旧、新たな災害の発生防止及び被災者の生活再建のため、次の事項について、特段のご配慮をされるよう強く要望いたします。

  1. 「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づき、今回の地震を激甚災害として指定し、被災地域全域の災害復旧対策への特別の財政援助及び助成をすること。
  2. 災害予算枠の確保と災害査定を早期に実施すること。
  3. 災害未然防止のための各種公共事業予算を大幅に増額すること。
  4. 「被災者生活再建支援法」の適用要件を緩和し、被災者の生活再建及び住宅再建を支援するため柔軟な運用を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出いたします。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 内閣官房長官
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣
  • 農林水産大臣
  • 国土交通大臣
  • 文部科学大臣

後期高齢者医療制度を中止し、廃止を求める意見書

 政府は2008年4月から、75歳以上の高齢者を対象に後期高齢者医療制度を実施しています。

 この新しい制度は、医療費削減の目的の下に、75歳以上の高齢者を今までの国民健康保険や健康保険組合などから除外して、全ての高齢者から保険料を徴収し、しかも保険料を年金から天引きするなど、高齢者に負担を押し付け、受けられる医療を制限するものではないかとの批判が強まっています。

 また、来年の4月からは国民健康保険や健康保険組合などでも、70歳から74歳の高齢者の方の窓口負担が2割に引き上げされる予定となっており、高齢者の不安がますます広がる中で、これに対しても中止してほしいとする声が高まっております。

 よって、高齢者にとっては、安心して医療を受けられるような仕組みを整えることが必要であることから、70歳から74歳の高齢者の窓口負担の2割への引き上げは行わず、また対象者を年齢のみで区別するような後期高齢者医療制度については、実施を中止し、廃止するよう強く要望いたします。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣

タクシー事業の規制緩和の見直しを求める意見書

 平成14年2月に実施されたタクシー事業の規制緩和から6年が経過した今日、全国各地においてタクシー事業への新規参入が相次ぎ、タクシー車両が大幅に増加しておりますが、供給過多に伴って事故が多発し、客待ちのための違法駐車やそれに伴う交通渋滞等を引き起こしております。

 タクシー事業者間の過当競争及び多様化する運賃の値下げ競争に対し、タクシー事業者は、新規顧客の開拓、事業の効率化などの経営努力を行っておりますが、LPガス等の燃料費の高騰等の追い討ちもあり、事業存続の危機に瀕しております。

 また、これらの諸問題による労働環境の変化に伴い、タクシー運転手の賃金は、一般産業における労働者の平均的賃金水準の半分近くにまで落ち込んでおります。v

 タクシー事業が安全、安心、快適な交通機関として交通事故を防止し、効率的なタクシー車両の運行により地球温暖化を抑止し、少子高齢社会における介護や看護のための移動手段とするなどの創意工夫のもと、利用者の需要を的確に捉えて健全に発展するためには、タクシー事業における秩序の維持が必要でありますが、タクシー事業者の自己責任及びタクシー業界の自助努力には、限界があります。

 よって、国においては、タクシー事業の規制緩和の見直しに係る具体的対策を講じられることとし、下記事項について要請します。

  1. タクシー事業の実態を調査すること。
  2. 新規参入及び事業廃止の基準を見直し、需給調整を行うこと。
  3. 同一地区は、同一料金とすること。
  4. 緊急調整地域及び特別監視地域の指定基準を見直すこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 参議院議長
  • 衆議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 厚生労働大臣
  • 国土交通大臣
  • 内閣府特命担当大臣(規制改革)
  • 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

国営農業水利事業と地方農政局の存続に関する意見書

 岩手県南部に位置する本市は、古くから水田開発とそれに伴う農業水利事業が行われ、数多くの歴史的な農業水利施設が存在しております。それらの農業水利施設は、環境保全、国土保全等の多面的機能を発揮するなど、地域社会の発展に寄与しており、我が国有数の農産地である岩手県の穀倉地帯として、安全で安心な食料を安定供給する本市農業を支えております。

 今日の基礎は、昭和26年から実施された「国営胆沢川農業水利事業」を皮切りに、昭和28年には「国営猿ヶ石川農業水利事業」が、平成元年からは「国営胆沢平野農業水利事業」が、さらに平成5年からは「国営猿ヶ石用水農業水利事業」が順次実施されるなど、農業水利施設の本格的な整備によるところが大きく、もって安定した農業用水の確保、農業生産性の向上などが図られております。

 本市の農業生産を支える、これらの農業水利施設は、国営農業水利事業として実施されておりますが、国の出先機関である地方農政局は、これらの事業において地域と密着した重要な役割を担ってまいりました。本市農業が持続的に発展し、将来にわたり我が国の食料供給基地としての役割を果たすためには、引き続き国の食料政策と連携を図る必要があり、農業水利施設等の計画的な整備を着実に実施していくことが重要です。とりわけ、国の直轄事業として予算と技術者を集中投入し、もって基幹的農業水利施設の整備を効率的に行う現在の仕組みは、本市農政において必要不可欠なものです。

 政府の地方分権改革推進委員会においては現在、国と地方の役割分担の見直しについて検討を進めており、地方農政局の廃止及び国営農業水利事業の地方への移譲等が議論されておりますが、国営事業により造成された農業水利施設は、食料の安定供給基盤として将来にわたり国が整備を図るべきものであり、地方農政局の廃止及び国営農業水利事業の地方への移譲等は、農業振興に多大な影響が及ぶものと強く危惧しております。

 よって、国営農業水利事業と地方農政局の存続に関し、下記事項について要請します。

  1. 国家政策である食料の安定供給の基盤であり、多面的機能を発揮し、地域農業・農村の持続的発展の礎となっている基幹的な農業水利施設について、今後も国直轄の事業として、国が責任を持って管理及び整備を着実に実施すること。
  2. 国営農業水利事業の実施機関として、地域に密着した行政機関である地方農政局を核とした現行システムを堅持するため、地方農政局をこれまでどおり存続させること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 参議院議長
  • 衆議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 農林水産大臣
  • 内閣府特命担当大臣(地方分権改革)

国による公的森林整備の推進と国有林野事業の健全化を求める意見書

 近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中で、環境資源としての森林の役割に対し強い期待が寄せられておりますが、一方において、林業を取り巻く厳しい状況下にあっては、森林経営が脆弱化し、その担い手である山村は、過疎化・高齢化によりその活力が低下し、崩壊の危機に直面しております。

 森林を取り巻く現在の情勢のもと、水源林等公益森林の整備については、国等の公的機関の役割がますます重要となっており、併せて林業生産活動の活性化を通じて山村の再生を図ることが地域政策上極めて重要となっております。

 このような時期に、国有林野事業は、いわゆる「行政改革推進法(平成18年6月)」に基づき業務及び組織の見直しが予定されており、また旧独立行政法人緑資源機構は、「独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月)」に基づき平成19年度末で解散し、独立行政法人森林総合研究所が水源林造成事業等を承継しております。

 今後の林政の展開に当たっては、森林吸収源対策の推進はもとより、特に国有林野事業等において、安全で安心な国民の暮らしに重要な役割を果たす水源林等公益森林の整備、さらには地域林業及び木材産業の振興を通じた山村の活性化に十分に寄与できるよう講じられることとし、下記事項の実現を強く要請します。

  1. 森林吸収源対策を着実に推進するため、環境税等の税制上の措置を含めた安定的な財源を確保するとともに、林業及び木材産業の振興施策を推進し、森林所有者の負担軽減措置による森林経営意欲を創出すること。
  2. 緑の雇用対策等の森林・林業担い手対策の拡充、施業の集約化、路網の整備、機械化の推進等による効率的かつ安定的な木材供給体制の確保、さらには木材のバイオマス利用の促進等により間伐等を含む地域材の需要拡大対策の推進による地域林業及び木材産業の振興を図ること。
  3. 水源林造成事業を含めた公的森林整備を計画的に推進するための組織体制を確保し、施業放棄地等民間による森林整備が困難な地域における国の関与による森林整備制度を創設すること。
  4. 国有林野事業については、国民共有の財産である国有林を適切に管理するとともに、公益的機能の一層の発揮を図るため、国による管理運営体制の堅持及びその管理運営を通じた地域における森林・林業担い手の育成と地域活性化への寄与を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 参議院議長
  • 衆議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 農林水産大臣
  • 環境大臣
  • 内閣府特命担当大臣(行政改革担当)

ミニマムアクセス米の輸入停止及び再生産できる米価の実現を求める意見書

 昨今、米やトウモロコシ、大豆、小麦等の穀物価格が世界的に高騰しており、新たな飢餓の広がりが懸念されるなど、全世界に深刻な影響をもたらしており、解決のための支援が必要とされております。本年7月に北海道洞爺湖で開催される主要国首脳会議においても、食糧問題が環境問題とともに重要なテーマとなることが見込まれております。

 穀物価格の高騰の原因は、気候変動による生産の不安定化、途上国の経済成長及び人口増に伴う需要の急増、世界的なバイオ燃料ブームによる爆発的な需要増、投機による異常高騰などが挙げられておりますが、これらが複合的かつ構造的に要因となっているため、価格高騰の長期化は避けられず、さらに影響が深まることが危惧されております。

 我が国においても、これらの輸入穀物を原料とする食料品の値上げが相次ぐとともに、食糧自給率がカロリー換算で4割程度、穀物量換算で3割程度にとどまっており、国民に大きな不安が広がるとともに、これらの飼料穀物の不足により酪農経営に深刻な事態が生じております。

 しかしながら、その一方において、国民の需要に沿わないミニマムアクセス米が現在、毎年77万トンも輸入されております。政府は、本年度分のうち70万トンを飼料用に振り向ける計画ですが、その量は、米不足に苦しむフィリピンが緊急に必要とする米の量に匹敵するものであり、人道上憂慮すべき事態となっているとともに、我が国によるミニマムアクセス米の輸入は、国際的な米不足の一因となっていることが懸念されます。

 ミニマムアクセス米の輸入は本来、WTO農業協定上の「義務」ではなく、政府答弁によれば「輸入の機会を提供する」ものに過ぎません。その一方において、国内では生産過剰が米価下落の原因であるとして、生産調整が拡大され、強化されております。

 いま求められているのは、農家が生産から撤退しないよう生産を守ることであり、生産費を償う米価を保障する政策です。

 よって、国においては、ミニマムアクセス米の輸入を停止し、再生産できる米価を実現するため、下記事項について要請します。

  1. ミニマムアクセス米の輸入を一時中止し、制度の見直しをWTO交渉の場で強力に働きかけること。
  2. 生産費を償う米価を保障するための政策をとること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 参議院議長
  • 衆議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 外務大臣
  • 農林水産大臣

防災・生活関連整備の地域間格差を無くし、安全安心な公共事業を国の責任で実施することを求める意見書

 我が国は、地震、台風、集中豪雨等の自然災害に対し脆弱な国土であり、東北地方においても毎年のように自然災害が発生しております。

 これらの災害対応については、東北地方整備局をはじめとする地方支分部局による直轄事業や被災地自治体への広域災害支援等により逐次復旧に至っておりますが、今、地域住民はこれまでの大規模災害により、防災対策の充実など安全で安心な生活を確保するための公共事業に大きな関心を持っています。

 このような中、政府は「基本方針2007」において、地方分権、道州制、公務員削減の推進などを決定し、平成19年11月には地方分権推進委員会が「中間的なとりまとめ(案)」を示し、この中で直轄国道の維持管理と1都道府県で完結する河川の維持管理を地方に移譲する方向を求めています。しかし、移譲に伴う財源については明記がなく、今後必要な河川、道路の整備については、地方の財政事情によることとなります。

 これまで、重要な河川、道路の整備、維持管理は国が行い、全国的に一定の水準を保ってまいりました。しかしながら、東北地方はその整備が遅れており、今後さらに地方分権改革推進委員会が示した地方移譲等が進められた場合、安全で安心な生活の地域間格差がますます拡大することが予想されます。

 地域間格差のない住民の安全で安心な生活の確保、平等・公平なサービスの提供のためには、防災・生活関連整備、維持管理はこれまでと同様に国が行うべきと考えます。

 よって、このような理由から防災・生活関連整備の地域間格差を無くし、安全安心な公共事業の実施のため下記事項について要望いたします。

  1. 社会資本整備において、地域間格差の拡大につながる民間開放・地方移譲は行わないこと。
  2. 国民の生命と財産を守るための公共事業を推進するために、地方整備局廃止を行わず、岩手河川国道事務所、北上川ダム統合管理事務所、胆沢ダム工事事務所を存続させること。
  3. 公共事業費の予算配分を防災・生活関連整備、維持管理に重点配分するとともに、岩手河川国道事務所、北上川ダム統合管理事務所、胆沢ダム工事事務所の組織を、災害時でも迅速に対応できる体制に拡充を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成20年6月26日

岩手県奥州市議会

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 内閣官房長官
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 国土交通大臣
  • 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

この記事に関するお問い合わせ先

議会事務局 議事調査係
〒023-8501
岩手県奥州市水沢大手町1-1
電話番号:0197-34-1575
ファックス:0197-23-8199
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