平成21年第2回定例会 意見書・決議文

更新日:2023年09月29日

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「協同労働の協同組合法(仮称)」の速やかな制定を求める意見書

 現在の日本社会は、年金、医療、福祉などの基本的な社会制度は疲弊し、グローバル化による国際競争などで、労働環境にも大きな変化の波が押し寄せ、「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」「偽装請負」などに象徴されるような、「働いても十分な生活が維持できない」、「働きたくても働く場所がない」など、困難を抱える人々が増大するなど、新たな貧困と労働の商品化が広がり、社会不安が深刻さを増しています。

 このような中、NPOや協同組合、ボランティア団体など様々な非営利団体は、地域の課題をみずから地域で解決しようと住みやすい地域社会の実現を目指し活動しています。

 れらのひとつである「協同労働の協同組合」は、「働くこと」を通じて、「人と人のつながりを取り戻し、コミュニティの再生を目指す」活動を続けています。

 この「協同労働の協同組合」は、働く者が出資し合い、全員参加の経営で、仕事を行う組織でありますが、国内ではワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ、農村女性ワーカーズ、障がい者団体など10万人以上が、この「協同労働」という働き方で20年、30年という長い歴史の中で働いてきました。

 その中で「自分たちの働き方に見合った法人格がほしい」、「労働者として法的保護を受けられるような社会的認知をしてほしい」と法律の整備を求めてきました。

 世界の主要国では、労働者協同組合(ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ)についての法制度が整備されています。

 日本でも「協同労働の協同組合」の法制度を求める取り組みが広がり、1万を超える団体がこの法制度化に賛同し、また、国会でも超党派の議員連盟が立ち上がるなど法制化の検討が始まりました。

 誰もが「希望と誇りを持って働く」、仕事を通じて「安心と豊かさを実感できるコミュニティをつくる」、「人とのつながりや社会とのつながりを感じる」、こうした働き方を目指す協同労働の協同組合は、市民事業による市民主体のまちづくりを創造するものであり、働くこと・生きることに困難を抱える人々自身が、社会連帯の中で仕事を起こし、社会に参加する道を開くものです。

 国においても、社会の実情を踏まえ、就労創出、地域再生、少子・高齢社会に対応する有力な制度として、「協同労働の協同組合法」の速やかな制定を求めるものです。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成21年6月22日

岩手県奥州市議会

  • 参議院議長 様
  • 衆議院議長 様
  • 内閣総理大臣 様
  • 総務大臣 様
  • 厚生労働大臣 様
  • 経済産業大臣 様

政府が自ら決めた備蓄ルールに基づいて政府米買い入れを求める意見書

 2008年産米の米価は4月以降、一気に下落しています。市場相場はコシヒカリを中心に1,000円(60キログラム)以上も値下がりしました。

 この背景には、昨年11月以降に景気悪化のもとで需要が落ち込んだこと、4月からの輸入小麦価格の大幅値下げ、ミニマムアクセス汚染米事件などによる安全性への不安等が影響していると考えられます。こうした中、量販店は「生活応援」などと称し、中には1俵当たり5,400円超の値下げ販売を行っているところもあります。業界紙は「過去最高の値下げ競争」と報じています。これらの動きは米価の重大な値下げ圧力となっています。

 この米価暴落に歯止めがかからない大きな要因となっているのが、農林水産省の備蓄米政策です。農林水産省は2008年産米の生産量を866万トンとし、「需要量は855万トン」との予測のもと、集荷円滑化対策によって「豊作過剰米」10万トンを2月に買い入れて変則的に政府備蓄米に充当しました。この結果、米の需給は均衡しているとしてきましたが、その後、下落が続いています。農林水産省の3月31日に開催された食糧部会での発言「備蓄米は買い上げしない」を受けて、米業界は「需要は締まりようがなくなった」と見ています。

 農林水産省は備蓄米の適正在庫は100万トンとし、売れた量だけ買い入れるのが「備蓄ルール」としてきました。昨年6月末の備蓄米は99万トン、この間の販売見込みは約21万トンです。本来は備蓄米にするべきではない集荷円滑化対策による買い入れ分10万トンを備蓄に含めても、今年6月末に100万トンの在庫を維持するためには、最低12万トンの買い入れが必要です。しかし、農林水産省は備蓄米の買い入れは全く行っていません。そればかりか、2005年産の備蓄超古米を60キログラム12,000円台の安値で売却して米価暴落を誘導しています。

 こうした状況を放置していては、国民の主食を安定的に供給するための適正な備蓄の確保と、稲作農業経営を守ることはできません。

 以上の趣旨に基づき、下記の事項について求めます。

 政府が自ら決めた備蓄ルールに基づいて、適正な備蓄水準を維持するために備蓄米の買い上げを直ちに実施し、さらには米価の安定を図り、農業者が再生産の意欲が湧くような施策を進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成21年6月22日

岩手県奥州市議会

  • 参議院議長 様
  • 衆議院議長 様
  • 農林水産大臣 様

保険業法の制度と運用を見直し、自主共済を保険業法の適用除外にすることを求める意見書

 第162通常国会で成立した「保険業法の一部を改正する法律」によって、障がい者団体やPTAをはじめとする各団体が、その目的の一つとして構成員のために自主的かつ健全に運営してきた共済制度が存続の危機に追い込まれています。

 保険業法の「改正」の趣旨は、共済の名を利用して不特定多数の消費者に被害をもたらした、いわゆる「ニセ共済」を規制し、消費者を保護することなどが目的でした。

 しかし、自主共済は、団体がその構成員の「仲間同士の助け合い」を目的に健全に運営されてきており、「利益」を追求する保険業とは全く異なるものであることから、保険業法の「改正」で、その自主共済を強制的に株式会社や相互会社にしなければ運営できないようにし、「儲け」を追求する保険会社と同列に、一律にさまざまな規制と負担を押し付けることになれば、多くの自主共済制度の存続が不可能になり、「契約者保護」「消費者保護」を目的とした法改正の趣旨にも反することになります。

 日本社会に深く根をおろしてきた「仲間同士が助け合う」という活動を奨励することはあっても、法律で規制したり、「利益」を追求する会社化しなければ「仲間同士の助け合い」ができないようにするなど決してあってはならないものと考えます。

 よって、下記の事項を実施されるよう強く要求します。

 団体が構成員のために、自主的かつ健全に運営している共済制度は、直ちに保険業法の適用外にすること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 平成21年6月22日

岩手県奥州市議会

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 内閣府特命担当大臣(金融)

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