奥州羅針盤(5年11月)
「不確実性の時代」は経済学の巨人、J・K・ガルブレイスの言葉ですが、彼が予見したとおりに超巨大企業の支配、貧困問題、戦争が発生しているのには驚きます。
現代社会は、U(不確実性)からVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)にまで複雑化し、目まぐるしく変転する予測困難な状況まで来ています。
昭和世代とZ世代が決定的に異なるのは、個人が入手する情報量です。SNSや検索ツールに加え、最近はChatGPTのような生成AIが生活の中に入り込んでいます。また情報の質も、スマホから入手する臨場感のある動画や、画像・文章を介した間接的で秘匿性のある情報に変化しています。
日本人にとって不幸だったのは、「失われた30年」を経験したことです。個人のやる気スイッチがなかなか見つからず、年代を問わず挑戦マインドが低下したことです。
「いやそんなことはない、単にしがらみが増えただけだ」という面々もいますが、それ自体が問題なのです。そういう時代だからこそ、新鮮な空気で深呼吸できる環境が人間として必要になってきています。奥州市の住民一人当たりの保有面積は、東京23区の住民と比べ約140倍の広さで、その多くが緑地地帯です。空気の新鮮度だけでなく、災害時の被災リスク度や食料安全保障のレベルなども圧倒的に優れています。
それでも若者は、特に女性は都会に憧れます。それでもいいのです。将来を見据えたまちづくりが若者の心の安定に寄与し、いつかは戻ってきたい気持ちが芽生えます。奥州市の地図は、乳児が母親に抱かれている姿に似ています。そのような包容力(抱擁力?)に富んだ市政がこれからの目標です。

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更新日:2023年11月22日