年頭あいさつ(6年1月)

更新日:2024年01月25日

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   広報おうしゅうをご覧の皆さまに謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。昨年は「4年ぶり」に開催する行事が多かったように思いますが、近頃は、新型コロナウイルス感染症と共存する生活も落ち着きを見せてきているように感じます。

   中長期的に成果物を得るには、全体計画に基づいた仕込みと経過観察が大切です。奥州市では昨年、まちづくりのグランドデザインとしての「未来羅針盤図」を示しました。今年は産業振興の方向性を示す「自力更生プラン(仮称)」を提示します。「羅針盤」は後藤新平翁が「日本の羅針盤」といわれたことから命名し、「自力更生」は齋藤實翁のモットーでした。自力更生とは、農業でいえば、コメの輸出政策や民間ファンドとの連携を指します。国の補助金依存の生産から国際的なマーケットに目を向けた行動です。これらの政策は「失われた30年の閉塞感から脱し、未来に向けて市場開拓にチャレンジする」という宣言でもあります。

   国際情勢の急激な変化で国内の価値観に変化が起こり、地方のハンディキャップが強みに変わる時代に入ったと感じます。例えば、「人口密度が低いと効率的なまちづくりができない」といわれてきたのが、「自然の豊かさを生かした、人間にとって価値あるまちづくりは地方から」と評価されるようになりました。

   また、農業は食料安全保障の面で、農産物や飼料の過剰な輸入依存型政策に警鐘が鳴ると同時に、農業従事者の急減によりコメの需給が逆転する時代になりました。そして、自然環境を維持するという農業の新たな役割がSDGsへの貢献として評価され、また都会生活者向けのアウトドアツーリズムの拠点としての魅力が、若者の新たななりわい作りにつながっています。奥州市の一人当たりの面積は、東京23区と比較すると約140倍です。そのほとんどが耕作地や山林の緑の宝庫で、地球温暖化防止策のカーボンニュートラルの時代では、その土地自体が財産になり、今後カーボンクレジットの利活用により自治体でも資金調達ができる新しい資本主義が始まります。

   このように、未来のまちづくり、産業振興、教育は三位一体の政策であり、奥州市が健全財政を維持できるかどうかの試金石になります。財政は、支出額だけに注目するのではなく、投資額とその効果額を想定して算出する事業採算性や経済効果に注目しないといつかは枯渇します。未来に向けた価値づくりの手法が問われる一年になると覚悟しています。

   昨年は「まちづくりはひとづくり」のキャッチフレーズを使うことが多くありましたが、この時代に合った多様性を受け入れた教育を推進するひとづくりは政策のエンジンであり、潤滑油です。ICT教育を取り入れたことにより、自分に合った学びのツールができたと同時に、学習塾が少ないことで敬遠された地方移住のハンディがより小さくなります。

   一方で、以前紹介した、文武両道(二刀流)の教えや、伝統芸能・伝承の祭りを通してリーダーシップを養っていく教育が奥州市の強みです。

   奥州市は地政学的には、旧伊達藩の柔軟な思考と旧南部藩の不撓不屈の精神を融合できるユニークな位置にあります。不確実性の時代に求められるのは、11万人の市民が多様性を尊重しながらワンチームになってまちづくりと産業振興に励み、自力更生を示す姿なのかもしれません。そんな「令和の市民革命」が今年の初夢になりました。

「奥州市長 倉成 淳」サイン2

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