奥州羅針盤(6年8月)
7月の恒例行事である七夕は、以前勤めていた企業の創立記念日です。創業当時の大正時代は、ブルーの背景に白い水玉模様の包装紙が、夏空に浮かぶ天の川を表現していました。その後、清涼感ある乳酸菌飲料らしく、白をベースにしたデザインに改訂したのは正解でした。ドジャースのユニホームも、ドジャーブルーが控えめなのは分かるような気がします。
この甘酸っぱい飲み物は、「初恋の味」と表現されていました。このキャッチフレーズを考案したのは、創業者の友人で中学の国語の先生でした。大正時代は、初恋という言葉を口にすることさえはばかられる時代だったようで、創業者がその友人に、「子どもに初恋の味って何よ?と聞かれたらどうするんだ」と尋ねた時に、その友人はこう言い放ったそうです。「初恋とは清純で美しいものだ。それに初恋という言葉には、人々の夢と希望と憧れがある。そう答えればいい」と。
「未来」はまだ来ていない世界のことで、そこに不安を持つのも期待が大きいのも若者の特権です。希望とは、どちらの漢字も「のぞむ」という強い気持ちを表わし、それが未来への憧れにつながると言いたかったのかもしれません。
「当時は、第一次世界大戦による好景気で世の中は明るく、このモダンなキャッチフレーズは世情にマッチし、歓迎され、瞬く間に日本中に広まった」と創業者は晩年に語っています。そういえば、「銀座カンカン娘」にも 〇〇〇〇飲んでカンカン娘 というフレーズがありました。
水での割り方によって、甘くもなり水っぽくもなる、そんな濃縮飲料の多様性を世の中は求めているのかもしれません。

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更新日:2024年07月26日