奥州羅針盤(6年11月)
えさし藤原の郷で収録されるロケ映像はとても質が高いと評判ですが、その背景にはエキストラ役の市民の皆さんが、厳しい撮影環境の中でも演技を楽しむ気持ちがあるからでしょう。NHK広報によると、丸1日のロケ撮影でドラマに使われるのはわずか2分程度ということですが、そこでのシーンがドラマの質を決定付けるため、スタッフは真剣に作りあげるのだそうです。
先日、紫式部のゆかりの地、福井県越前市の山田市長ととてもユニークな話で盛り上がりました。
その話題は、「光る君へ」の時代から百年ほど後の、「奥州藤原氏の繁栄を支えたものは何か?」というテーマでした。よくいわれる黄金の力だけでなく、実は現代と同様、戦いに必要な軍需品、いわゆる兵器ビジネスが貢献したのではないかという仮説です。当時の戦いは、騎馬武者による一騎打ちが主体なので、戦の最前線で必要な軍需品は馬であり、馬上で使いやすい弓であり、殺傷力のある刀だったでしょう。古来、陸奥地域は馬の生育に適した牧草があり、名馬の産地でありました。また、矢に使われる竹や矢羽根に重宝されるワシやタカの羽も供給できたと思われます。そして、日本刀に必要な鉄の産地でもありました。この地の利を生かして源氏と平氏の戦いの間、藤原清衡は双方に軍需品を供給し、栄華を極めたという考察です。興味深い話です。
「光る君へ」はもうじきクランクアップすると思いますが、「えさし藤原の郷に来てくれた俳優さんや撮影スタッフの皆さんがまた来たいと思ってくれること自体が、奥州市の持っているポテンシャルだ」と言ってくれた山田市長の言葉に励まされました。

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更新日:2024年10月24日