年頭あいさつ(7年1月)
広報おうしゅうをご覧の皆さまに謹んで新年のごあいさつを申し上げます。思い返せば、市長就任から間もなく3年となりますが、就任当初に描いた奥州市が「未来に希望を持てるまち」になることを願う気持ちは全く変わりません。そこで、改めて東北の歴史を振り返り、地元に宿る希望の源泉を探ろうと、えさし藤原の郷の開園30周年記念で一緒に桜の植樹をした作家・高橋克彦さんの「東北・蝦夷の魂」を読みました。期待どおり、たくさんの気付きがありました。
この著書は、東日本大震災の2年後に発刊されたものです。東北人の耐える力、粘り強い姿、人を思いやる優しい姿勢を世界に示したのが東日本大震災直後の国際報道であり、その姿を見て、「浄土思想は確かにこの地に存在する」と世界の人々が認識して平泉の世界遺産登録につながったと述べています。ただし、著者は「耐える強さが大切なのは、明るい未来があってこそだ」と締めくくっています。それが大切なのです。
この部分を読んだ瞬間にイメージしたのは、大谷翔平選手の姿です。彼の行動や言動は、世界に誇れる東北人の良さであると同時に、未来を切り開くことの重要性も伝えています。世界が認めるスーパースターでありながら、謙虚さ故に親しみを感じさせるあの姿こそ、われわれが目指す人間像ではないでしょうか。
奥州市は大谷選手のふるさととしての魅力とともに、彼が「粘り強さ、やり抜く力」そして「情熱」を地元で学んだことを知ること自体が市民のプライドにつながるはずです。「ストーリーが明確な夢は必ずかなう」と思い続けることも大切な資質です。
12月に、奥州市民劇「長英の夢物語」を観劇しました。江戸時代に勇気をもって鎖国政策を批判し、「夢物語」を著した高野長英の姿から、改めて世界に目を開き行動する底力のある地域だと認識しました。
今、世界は混迷を深め、従来の価値観とは異なる時代に突入しようとしています。そんな時代の中で、「これから地球を救うのは東北人だ」といわれるよう、共助の力を生かして、新しい時代に立ち向かっていきましょう。
令和7年が皆さまにとって良い年となりますようお祈りし、新年のごあいさつといたします。

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更新日:2025年01月06日