奥州羅針盤(7年6月)
最近よく「関係人口」という言葉を耳にします。命名者である、株式会社雨風太陽の代表・高橋博之氏によると、「観光以上、移住未満」の状態を表し、あくまで生活の拠点は地域外に置きながら、地域と継続的に関わる人々を指すようです。彼の最新の著作「関係人口」では、「都市と地方を同時並行で生きる」「都会を満たし、地方を助け、あなたを再生してくれる」という説明も加えています。
このような発想に至るまでには、数多くのケーススタディや実例を経験してきたのでしょう。一つの例としては、定期的に農作業を手伝いながらその土地の良さを満喫する事例があるようです。年間滞在日数によっては、地域の担い手となる可能性もあります。
高橋氏は、関係人口による地方の発展のために、「ふるさと住民登録制度」を内閣府に提唱しています。これまでは、二重市民権は困難といわれ続けてきた領域に、法解釈も含め「こうすればできる」という提案をし、石破政権がそれを受け止めたのは、まさに「山が動いた」といえるでしょう。
このような新たな形の訪問者を受け入れる社会と、結果的に排除してしまう社会の差は「寛容性、おおらかさ」にあるかもしれません。以前、このコラムでもお伝えした「人口減少でも元気なまち」になるための前提条件と共通している点にも注目です。
個人的な印象では「関係人口づくり」は、小さな拠点づくりの共助を中心としたコミュニティ活動にうまくはまるのではないかと考えています。多様性を尊重することは、既存の価値観を破壊することではないので、自分たちが守り続けてきた価値観がより輝いて見えるのではないでしょうか。

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更新日:2025年05月23日