奥州羅針盤(7年7月)
6月は前沢牛まつりで幕が開け、姉妹都市の北海道厚真町訪問団の皆さんと、農業の未来について大いに語り合い、示唆に富んだお話を伺いました。そこで市長コラムでは、数回にわたり順不同で姉妹都市にまつわる話題を提供しようと思います。
今回は、その厚真町を紹介します。苫小牧市のすぐ隣に位置し、太平洋に面した農村地帯が広がるまちで、人口は約4200人です。合併前の前沢町が農閑期に交流を行い、10名の女性が厚真町に嫁いだ縁で姉妹都市となり、昨年40周年を祝いました。
厚真町の田んぼの耕作面積は3430ヘクタールで本市の約5分の1ですが、一人当たりの耕作面積は本市の約5倍です。私の印象では、厚真町の稲作の大型化は、本市のはるか先を走っているように思えます。そして注目すべきは農業を志す若者の存在です。
訪問団の皆さんは、農業の担い手不足を感じたことはないと断言します。一度まちを出た農家の若者は、ある時期になると農業を継ぎたいと戻ってくることに加え、転入者も多いそうです。例えば厚真町に移住した地域おこし協力隊の数は、ここ数年で家族も含むと約200人(総人口の約5パーセント)にも上ります。
その秘密は、「農業担い手育成センター」を運営し、初心者でも農業をしっかり学べる実践的な仕組みにあるようです。育成センターでは3年の研修期間の中で、畑作から稲作までこなせる一人前の農業者に育てるカリキュラムがあります。指導方針は「失敗を覚える事」なのだそうで、まさに「失敗は成功の母」の実践です。
次回は、姉妹都市の静岡県掛川市を紹介いたします。

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更新日:2025年06月30日