市長就任式・就任会見(令和4年3月22日)

更新日:2023年09月29日

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市長就任式

 皆様、おはようございます。
 この度、奥州市長に就任いたしました倉成淳でございます。
 先ほど、市庁舎前で花束をいただくなど、このような晴れがましいことを経験するのは、何年ぶりかと思いながら今この場に立っています。
 私は格調高い挨拶はできませんので、皆さんに伝えたいことをお話します。

 まずは最初に現在の心境ですが、奥州市長として数多くの重責を担うことになりますが、私自身としては不安感よりはワクワク感の方が大きいです。
 その理由は、今後の活動のコンセプトが決まっているからだと思います。
 これからの市政のコンセプトは一つ、「市民に寄り添う市政」です。
 「寄り添う」という言葉には、大きくふたつの意味があります。
 ひとつは、本能的に寄り添う、母親が子供に寄り添うときのような情緒的で優しい意味の「寄り添う」です。
 もうひとつは、戦略的に寄り添うことで、企業と顧客の関係を表すような場合に使います。例えば、有名ブランドの某家電メーカーが財務的にどん底だった時に、社内で「寄り添う技術」を徹底的に議論して、生命保険分野やロボット技術、非接触型情報伝達、エンターテイメント分野に進出してV字回復した例があります。
 私の言っている「寄り添う」は、一人の人間としては前者の意味で、市の運営としては後者の意味の「寄り添う」になります。
行政は、戦略的に市民に寄り添い、市民の協力を得ながらインフラ整備など重要な改善を早急に低コストで実施することが大切です。

 では次にどのようにしてそれを実現するかということですが、私は、私をはじめ、行政に携わる人間が、現場感覚と当事者的意識を高めることに尽きると思います。市民の力は将来の行政の戦力です。その力を侮ってはいけません。
 そのために何をしようとしているのか、三点皆さんにお話します。
 第一点は、重点テーマを明確にするために、4月に市長直轄プロジェクトチームを立ち上げます。そのプロジェクトチームと担当部門が一緒になって多面的に解決策を提示する仕組みを整えます。
 プロジェクトチームには、サポート役として、情報収集・分析にたけた外部の政策アドバイザーを採用します。
 また、重点テーマは行政が支えなければならない領域を優先します。それは医療・教育・公共交通です。
 市の重大な課題に対し、タイムリーに解決策を提示することが目的です。

 第二点は、市役所内で当たり前とされている仕組みを見直すことです。
 一言で言うと、「上向き、内向き、後ろ向き」からの脱却です。現状を肯定しすぎると、どうしても「上向き、内向き、後ろ向き」に自らを埋没させることになります。常に情報を共有し対話を継続し、透明性の高い組織風土の中で共通の目的を追求することがとても大事なのです。
 そのためには、まずは、部長職の方々にその模範を示してもらいます。

 具体的には、

  1. 人事評価における部長の業績と報酬の連動制の導入です。
  2. 関連団体との連携強化に主体的に取り組んでもらうことです。市長ではなく、原則的に部長が運営の総責任者になります。これは権限移譲のひとつと考えています。
  3. 部門の目標管理を明確にしてもらいます。目標値と時間軸を明確にしたものを新体制発足後すぐに提出してもらうことになります。
  4. 市民の窓口がある部署についてですが、窓口での申請から書類を渡すまでの待機時間を現在の半分にする方法を提案してもらいます。できない場合は、どうすればできるのかということを提示してください。

 部長職の方々に新たに求めることは以上の四つです。

 一方で、若い人たちには「チャンスを逃すな」と伝えたいと思います。何とかして自分の提案を取り上げてもらうという意気込みを持ってください。そういう人たちの背中を押すために、市長へ直接提案できる仕組みを作ります。ただし匿名なしです。堂々と部署名を明らかにしてください。

 さて、寄り添う市政にするための第三の視点ですが、それは産業振興に関わることです。行政は、市民の皆さんが安心できるような無難な施策を継続することは大事です。
 しかし、産業振興において、より大切なことは、様々な仕組みを時代に適合させることであって、それらが時代に適合しなくなった時に行政はその生命力を失います。
 農畜産業、林業は、国の動向を先取りして新たな担い手を集める意欲が必要です。これらの分野は、日本の産業で数少ない成長分野ですから、全国の若い起業家が社会問題を解決しようと一生懸命活動しています。
 中小企業庁の中小企業白書では、開業3年以内の企業は全体の8.5%ですが、新規雇用の割合は37.6%という数字もあります。彼らは自分たちのネットワークを使って人を集めることができます。
 奥州市が保有している貴重な特産品ブランドを次の世代まで継続させるためにも、担い手不足解消に新しい一手を打っていきましょう。

 最後に、私が今考えている奥州市民のプライドを取り戻す鍵とそのシナリオについて述べます。

  1. 市民に対して、将来に向けた財務体質の改善策を示すこと
     これは市の財政に対する不安感を一掃するためです。途中経過は見える化したデータにしてメッセージを伝えます。
  2. 市民と共に、無形資産を活用して奥州市の外から子育て世代の移住を促進すること無形資産とは、自然環境、豊かな人間性、歴史・ストーリーです。
     永住でなくても良いのです。段階的に医療・教育・公共交通の利便性を改善し、徐々に子育て環境の良さをアピールできるようにすることも大切です。
  3. 市民が、当事者意識をもてるように、複合的な取り組みをすること
     例えば、ILC誘致を推進するために、国際的な研究都市を目指すならば、まずはウクライナの避難民受け入れを提案すべきだと思います。そこでどのような問題が生じるかを肌で実感する過程が必要だと思います。政府のこの提案には91.2%の国民が評価したのですから、その流れを自治体としても取り組むべきだと思います。

 おわりになりますが、皆さんには、うるさい市長がやってきたと思われるかもしれませんが、それが私にとっては誉め言葉です。
 ただし、方向性を間違えたと思ったら、すぐに修正する柔軟性は持ち合わせています。
 私は市役所職員の力を信じていますし、その力はもっと伸びると思っています。誇りある奥州市にするために、皆さんの力を貸していただきたいと切に願っています。
 皆様の奮起を大きに期待しまして、私の挨拶に代えさせていただきます。有難うございました。

市長就任会見

市長挨拶

 本日、奥州市長に就任いたしました、倉成淳です。よろしくお願いいたします。本日の就任式では、市の職員に今後の市政の基本方針について説明しました。その後、市議会全員協議会では、執行機関、行政委員会などの幹部職員及び議会事務方職員を紹介いたしました。

 その際、及川新太副市長及び新田伸幸副市長、並びに岩村正明病院事業管理者については、3月31日をもって退任の申し出がございましたので、これを承認したことを報告いたしました。また、職員の人事異動の内示につきましては23日水曜日の午後に予定しております。

質疑応答

質問:就任式で市長がお話したウクライナからの避難民の受け入れについて、市長として現状どのように考えているのか伺います。

回答:人道的な支援という位置づけです。加えてILCの推進活動の例として挙げさせていただきました。国際都市になるためには、どのような準備をしなければならないのかを考えた場合に、ウクライナの避難民の方を受け入れることで経験を積むこともあるのではないかという提案です。
 具体的なところについては、4月から始まるプロジェクトの中で議論していきます。単なるウクライナへの援助金という形だけではなく、奥州市として将来のビジョンがある訳ですから、それに合わせて良い経験になるのではないかと考えています。どこまでできるのか、一つの市だけでは決められないところがあり、国や県とどう連携していくのかが、重要なポイントになると考えています。

質問:市長直轄プロジェクトの狙いと今後のスケジュールについて伺います。

回答:4月から市長室で始めます。政策アドバイザーについては契約交渉中であり、リモートで入っていただく準備を進めています。情報の収集と分析にたけた人材になります。それと市職員の中からは、中堅の職員3名を今度の人事異動で専任のプロジェクトチームに入れます。
 まず、今、奥州市で抱えている問題で、早期に解決しなければならない問題はどれか絞り込みます。いくつかある問題ごとに時間軸を決めたうえで、具体的な選択肢を決めていこうと考えています。テーマによって時間軸が違うのですが、選択肢を出すまでは半年から1年、長くて2年程度を見込んでいます。
 骨格作りとプロジェクトチームをどうするかまでは、市の内部で決めます。市民も入れて最初から議論した方が良いというテーマについては市民にも入ってもらいます。プロジェクトチームだけでできることは限られますので、課題について取り組んでいる部署と綿密に連携をとりながら進めていきます。

質問:副市長が退任されるとのことですが、後任について伺います。

回答:交渉中ですので、もう少しお待ちください。

質問:市内で出産できる施設がなくなっていることについて伺います。

回答:市内に産科を復活させるためには、産科医の協力を得ないといけません。行政にできるのは、助産師や看護師の派遣という形になり、それが周産期医療センター的なものになるのかは考える必要があります。産科医にご協力いただけるような行政のサポートが必要ですが、大学ごとに考え方が違いますので、慎重に辛抱強く取り組んでいきます。妊婦にとって安心できる遠隔医療システムについては、県と足並みをそろえて体制を整えていきます。最終的には、やはり市内で安心して出産できる場を復活させないと、市民の要望に応えた形にはならないと思います。

質問:先日の地震で文化財が被害を受けましたが、保存と耐震について伺います。

回答:まだ現状をつかんでいない段階なので、まずは現状を把握したいと思います。必要な文化遺産は、しっかりと保存していきたいと考えています。

質問:自然災害に対する考えを伺います。

回答:予防保全的対応として起こる前にやっておくべきことの整理と、災害が起きてからの災害対策本部の仕組みなどに問題がないか、しっかり見ていきたいと思います。

質問:就任式で、医療・教育・公共交通に絞って直轄プロジェクトで早急に結果を出していきたいとお話がありましたが、具体的にいくつものプロジェクトを並行で行うのか、まず重点課題に取り組んで成果をあげていくのか伺います。

回答:早急にという言い方をした背景には、その三つの分野ともデジタル技術を応用したいということがあります。医療であれば電子カルテ化であるとか、交通の自動運転、教育のICTと、その辺はデジタル技術が共通しています。マイナンバーカードの普及率を上げないとうまくいきませんし、上げるためには市民に利便性を示せないと入ってきてくれないと思います。市民の方がスマホを持って参入し、ポイントを貰える基盤の仕組みをつくれば、3分野に共通して使えるようになると思っています。
 それから周産期医療など、個々のテーマでやらなければならないことについては、テーマによって時間軸が異なります。デジタル技術を早期に進めることは、多くのテーマに共通するやり方だと思います。政策アドバイザーとともに各地域のやり方を参考にしながら奥州市版の仕組みをつくっていきます。

質問:就任式での「市民に寄り添う姿勢を大きな柱にするための複合的な取り組み」とは具体的に何か伺います。

回答:こちらに来て、職員も市民も評論家的な発言をする人が多いように感じています。例えば「合併ってうまく行っていないよね」という話を平気でするのは違うと思います。どうすれば多様性のある社会をつくれるのかという議論にならないと、何年経っても進みません。そういう雰囲気つくりが重要です。
 そのために市役所は市民の方に信頼されなければなりません。信頼のきっかけは身近なところにあって、例えば届け出の際にちゃんと誘導してくれたり、書類が出てくる時間が半分になったり、そういうところから「市役所は我々のことをしっかり考えてくれている」という感情が芽生え、やれることも広くなっていくと思います。病院問題や様々な問題がありますが、その根っこにある部分を改善していかなければ解決しないと考えています。

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