定例記者会見(令和7年7月14日)

更新日:2025年07月14日

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市長あいさつ

6月議会では、地域医療整備における新医療センターの役割や存在意義について提示した「新医療センター整備基本計画」について、多くの一般質問がありました。また、市民からの請願書に対する請願審査が4件あり、議員の皆様をはじめ、教育厚生常任委員会の皆様には丁寧な請願審査をしていただき感謝申し上げます。

この新医療センター整備基本計画について、現時点での認識を3点お話しします。

1つ目は、庁議で決定した内容に基づく関連予算が議会で可決されたことから、総合水沢病院の規模を縮小して改築し、時代のニーズに合った医療センターにするということです。6月の医療懇話会の中でもご指摘があったとおり、公立病院の建て替えは民主主義の原則に沿って行政機関が最終判断し、持続可能な地域医療を目指すことが原則だと思っております。

2つ目は、市民の不満や不安の解消に向けて具体的な解決策を提示していくということです。地域医療に関わる医療関係者の皆様とは、奥州保健所と連携し、県が策定した胆江圏域の医療連携、県南圏域の広域連携について議論を深めていきたいと考えています。2040年に向けた地域医療は、地域の総力戦と言われている具体的なイメージを提示し、市民の理解を深めていきたいと思います。そのために、2025年から2040年の医療需要の変化をデータで示しながら、その姿を先取りし、市は何をしようとしているのか、その結果として予測される2040年の姿を示していきたいと考えています。

3つ目は、今後の活動についてです。地域医療の整備に向けて、行政手続きとして進めるべきこと、医療関係者間で実施すべきこと、行政が伴走支援して実施すべきことに分けて説明し、理解を求めたいと思います。また、整備基本計画の中で提示された現状の課題である医師確保策、市立医療機関の統合またはより強い連携策、新医療センター開院後の病院事業会計の改善策については、現在医療局を中心に進めている方向で着実に成果を上げていきたいと考えています。

病院問題は、地域行政の大きな課題であることは明らかです。対応する上で大切なことは、具体案をもって反対しているのか、地域独特の問題点が潜んでいるための反対なのか、行政側が解決策を提示しているのかという論点を明確にすることです。今回の議会で病院統合の意見が出ましたが、市立病院間の統合と県立病院・市立病院の統合は、実行プロセスが異なります。全国共通の医療行政の課題である財務的問題、医師不足などある中で、論点を整理した丁寧な議論が必要であると改めて感じております。

重要施策の定期報告

第一四半期のレビューとして、未来羅針盤プロジェクトの狙いと進捗状況をご説明します。

まちづくりの狙いは、今年度の当初予算の方針にも掲げたように、人口減少でも元気なまちにすることです。そのための2本柱は、まちづくり・仕事づくり・人づくりを一体的に実施し、官民連携により将来の負担軽減を図ることで健全財政を維持すること、未来に希望を持てる具体的な施策を見える化することです。その具体的な施策が未来羅針盤プロジェクトであり、それに加えて、関係人口との交流機会を増やし、市の魅力発信を図ることが重要になります。国が進めている二地域居住促進法やふるさと住民登録制度など、新たな制度を常に意識しながら進めていきたいと考えています。

各プロジェクトの企画立案の段階で重視している点は、エビデンスがあるかどうか、顧客や利害関係者が誰か、時代の変化に対応できるかどうかです。これらの基本的な方針を踏まえて、市民の意見を確認しながら、他の先進事例も参考にして進めていくことがプロジェクトの核になっています。

 

【各プロジェクトの進捗状況】

○地域医療奥州市モデルプロジェクト

現在、新医療センターの整備に向けた基本設計の策定段階にあります。整備基本計画の中で提示された課題である医師確保策、市立医療機関の統合またはより強い連携策、新医療センター開院後の病院事業会計の改善策については、医療局を中心に進めており、着実に成果を示していきたいと考えています。

 

○未来型公共交通プロジェクト

前沢地域でAI(人工知能)を用いたハートバスの運行を開始するなど、デジタル技術やバスの利便性を高める研究と事業化を進めています。このノウハウを将来のライドシェアにも応用したいと考えています。紫波町では、今月から公共ライドシェアの夜間導入の実証実験を始めておりますので、その情報も参考にしたいと考えています。地域医療の維持に公共交通システムの整備は欠かせません。誰でもどこへでも無理なく移動できる持続可能な公共交通システムを目指します。

 

○水沢市街地エリアプロジェクト

メイプルに関して、ビルを一体的に管理する事業者とテナントの誘致に取り組んでいます。6月市議会定例会で関連予算が議決されましたので、進捗に合わせて随時報告していきたいと考えています。また、水沢公園の再整備では、パークPFIの導入可能性とともに、将来的な公園整備のあり方について調査していきます。

 

○江刺市街地エリアプロジェクト

整備構想の策定を終え、開発コンセプトや求められる機能などをまとめました。今年度は基本計画で具体的な施設整備や事業方式の策定、PPP/PFIの導入可能性調査を行います。

 

○小さな拠点づくりプロジェクト

衣川地域では民生委員の業務に役立てるためにタブレットの活用を推進しています。伊手地区では、旧伊手小学校の改修事業に着手し、地域活性化に資する拠点として整備を伴走支援し、生活圏の維持に努めてまいります。伊手の地域づくり団体である一般社団法人いであいは、自立更生をベースにした小さな拠点づくりとして、国土交通省からも注目されています。

 

○奥州湖周辺エリアプロジェクト

拠点施設として奥州湖交流館の改修に着手するとともに、事業推進に向けて事業者の参画を促す協議会の設立を進めています。奥州湖周辺エリアの開発を含め、市街地開発や小さな拠点づくりと連動しながら人づくり、なりわいづくりを進めていく計画です。実現に向けて、大きなスローガンが必要であり、現時点での候補として、カヌー競技のワールドカップ招致が挙がっています。包括連携を結んでいるモンベル社や、ダム管理の国交省と連携して進めていきたいと考えています。

発表項目

1、水沢市街地の新たな可能性を見つけるシンポジウムの開催について

奥州市未来羅針盤図の水沢市街地エリアプロジェクトの狙いである「賑わい創出」、「ウォーカブル空間の創出」に向けて、これからの水沢市街地をどのように再生していくべきかの議論を多くの市民や企業と共有し、新しい一歩を踏み出す機運を高めることを目的として、シンポジウムを開催します。

水沢市街地の新たな可能性を見つけるシンポジウムの開催について(PDFファイル:202KB)

 

2、2025カヌー競技大会について

奥州いさわカヌー競技場を会場に「2025カヌージャパンカップ大会」を開催します。日本ジュニア選手権を兼ねて開催されるほか、今年から「2025 ICF CANOE SLALOM WORLD RANKING - OSHU OPEN」として、海外からのエントリー募集を実施しています。こちらは3ヶ国の参加があった場合にレースが成立するものです。

2025カヌー競技大会について(PDFファイル:136.4KB)

 

3、プレコンセプションケア事業の実施について

女性やそのパートナーが性や将来の妊娠に関する正しい知識を持ち、自分たちの生活や健康に向き合う取り組みとして、18歳~35歳を対象にプレコンセプションケア事業を実施します。睡眠中の温度リズムを計測して自身のからだのリズムとコンディションを知る取り組みや、市内産婦人科医や市助産師等を講師とした研修会を実施する予定です。

プレコンセプションケア事業の実施について(PDFファイル:349.7KB)

 

4、県発行のグリーン/ブルーボンドへの投資表明について

岩手県では、環境改善効果を有するプロジェクトや海洋資源・生態系の保護等に資するプロジェクトの資金調達のため「グリーン/ブルーボンド」債券を今年度も発行します。市においては、3年連続で債券の購入を決定しており、今年度の投資額は1億円です。期間は5年で、市の投資総額は2億5千万円となっています。

県発行のグリーン・ブルーボンドへの投資表明について(PDFファイル:163.6KB)

質疑応答

Q:石川県へのグリーンボンドの投資は現在も継続されているか伺います。
A:令和5年度に購入し、現在も継続中です。令和10年度までとなっており、金額は3千万円ずつを5年間となります。

5、いさわ水の郷夏祭りの開催について

「全日本農はだてのつどい」の後継事業として、地域住民の絆を深め、地域の活性化を図ることを目的として、「いさわ水の郷夏祭り」を開催します。当日は、郷土芸能披露やお笑いライブ、ジャンボボウリング大会などが行われる予定です。

いさわ水の郷夏祭りの開催について(PDFファイル:145.6KB)

 

自由懇談

Q:今回の参院選について、市長のお考えを伺います。
A:地方自治体の首長は、国会議員の皆さまにいろんな場面で要望活動を行っていますので、今回の参院選では中立の立場を取らせていただきます。

 

Q:地域医療について、市長が考える2040年の具体的な姿について伺います。
A:厚生労働省が発表していますが、団塊の世代が全て75歳以上になるため、様々な慢性疾患などにより医療ニーズが高まることが予見されています。75歳以上の方の医療ニーズは2020年と比べて40%ほど高まるとされ、85歳以上の医療ニーズは60%高まるとされています。これは全国的な平均であり、場合によってはさらに厳しい状況になるかもしれません。その場合、公立病院だけでは対応しきれない状況になり、公立と民間が一体となった包括ケアの仕組みが進んでいないと対応が難しいと考えています。訪問介護、訪問看護、訪問医療などが有機的に連携していないと、多くの医療ニーズに対応するのは難しいでしょう。また、在宅のまま看取られたいという方が7割程度いますが、実際に市でそれが実現しているのは2割に過ぎません。このようなニーズに対応するために包括ケアを進め、回復期と慢性期の疾患の両方をカバーできるような姿を目指します。

 

Q:市長が思い描く2040年の姿を実現するための具体策について伺います。
A:コロナウイルスの際に、保健所を中心に民間と公立が役割分担をしながら一緒に動いた例があり、包括ケアについても同じ仕組みで進める必要があると考えました。部会を立ち上げ、奥州保健所と連携して動き始める予定です。北上市や花巻市の例を参考にすると、全体の連携を進めるためにリーダーシップを発揮する医師が不可欠であると考えます。そのため、公立病院内での具体的なディスカッションだけでなく、民間も含めて対応していく必要があります。現在、民間医療機関に通院している方々が通院できなくなる状況にも対応した具体的な対策を講じていきたいと思います。

この記事に関するお問い合わせ先

未来羅針盤課 広聴広報係
〒023-8501
岩手県奥州市水沢大手町1-1
電話番号:0197-34-2126
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