絵物語 (7)相馬事件

更新日:2023年09月29日

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布団に入り寝ている後藤新平と、新平の横で正座している男性のイラスト

 (絵:及川哲夫/文:『後藤新平小伝』等からの抜粋)

 内務省衛生局長となって間もなく、元相馬藩家臣の錦織剛清(にしごりたけきよ)が「旧藩主相馬誠胤(そうまともたね)を精神病者に仕立て財産を乗っ取ろうとしている者があるので懲らしめたい。そのため費用もかかるので借金の保証人になって下さい」と新平のもとへ訪ねてきました。

 曲がったことの嫌いな上に、頼まれると嫌と言えない新平はそれを承諾したため、逆に誣告罪で訴えられ、監獄へ入れられることになりました。しかし、全くやましいところがないと信じているため、入獄した晩から高いびきをかいて眠るのでした。

手前に新平、奥に裁判官が描かれた裁判の様子のイラスト

 また、その裁判の時のことです。

 当時のマスコミは錦織をはじめは忠君の士として讃えていましたが、形勢の逆転に伴い相手にする者がなくなりました。それを見た新平は、「盛りをば見る人多し散る花の跡を訪うこそ情けなりけり」と歌を詠んで、自分はその落ち目になった人に同情して保証人になってやったのだ、と判事に向かって話したそうです。

 裁判の結果、無罪となりましたが、この間に新平は衛生局長の職を失っていました。

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