定例記者会見(令和6年10月11日)
市長あいさつ
報道各社の皆様方には、同日選挙の取材でご多忙のところ参加いただきありがとうございます。また、日頃より、奥州市の取り組みに関して、高い関心を持って報道していただいていることに感謝申し上げます。
先週話題になりましたトーランス市との友好協定は、関連するイベントも含め成功に終えることができました。企業訪問においても、今後の交流が期待できる情報交換であったと思います。
さて本日は、第一部として、本年度4月から9月までの上半期のレビューをさせていただきます。本年度の施政方針演述で取り上げた重点施策については私から説明し、総合計画の大網別の取り組みレビューは未来雑針盤課課長から説明いたします。また、第二部は今月の発表項目として、7項目を各担当部署から報告いたします。
重要施策の定期報告
令和6年度上半期重要施策の定期報告について(PDFファイル:2.2MB)
1、まちづくりに関する未来羅針盤プロジェクトについて
(1)地域医療奥州市モデルプロジェクト
新医療センター整備の基本構想をもとに、早期に議論を進められるように、より具体的で定量的な中間案としてとりまとめ、8月に公表しました。9月に、中間案について市民説明会を開催し、6会場でのべ188人の方々に集まっていただきました。これまで2年間にわたり広報おうしゅうや地元説明会で説明してきたことが参加者の一部には伝わっていないことも判明したため、論点を整理した上で、シンポジウム形式で改めて説明し、ある程度内容理解と意見交換が進んだところで基本計画としての最終案にまとめたいと考えています。
中間案の改善策のポイントは、
- 経験豊富な整形外科医を招聘し、リハビリ機能を取り込むことで病院事業収益がどのように改善するのかを、他病院の実例を挙げて説明すること
- それにより、市民はどのようなベネフィット(利益)を享受できるのか
- 市の財政については、人口減少による市民税減少が、歳入全体の減につながるとは限らないこと(過去の例と市税の割合は20%程度であること、農業収入・モノづくり産業の収入・ふるさと応援寄付金の増加があること)
(2)未来型公共交通プロジェクト
先行して実施する予定であった奥州湖交流館の改修工事は、5月に工事設計業務契約をいたしまして、11月までに設計を完了し、来年度工事をするという計画の通りに動いております。3つのエリア(奥州湖周辺エリア、市街地エリア、種山高原周辺エリア)全体では、えさし藤原の郷の集客力を利用し、市内各所の宿泊施設に誘導するようなプランを策定中です。
(3)奥州湖周辺エリアプロジェクト
奥州市のアウトドアツーリズムの構想実現のため、推進体制の構築と各拠点施設の整備計画を実施しています。エリア全体のコンセプト策定や、モデルルートの魅力向上を図るため、モンベルグループに支援業務を委託しました。
先行して実施する奥州湖交流館の改修工事は、5月に工事設計業務契約を行い、10月までに設計完了、工事は来年度実施する予定です。
(4)水沢市街地エリアプロジェクト
6月10日に、メイブル施設の価値向上に向けた事業のバートナーであるKeeyls株式会社と連携協定を締結し、プランを作成してきました。メイプルの活用コンセプトを「モノの拠点からヒトの拠点へ」とし、運営戦略は大きく以下の3つです。
- 段階的マーケティングと民間資金の活用により市の財政負担を減らすための工夫をする
- 競合や事業分析に基づく魅力あるテナント構成にする
- 地元を巻き込んだ能動的な運営会社を設立する
具体の内容については11月に公表し、12月に事業費を予算化する予定です。
(5)江刺市街地エリアプロジェクト
公開プロポーザルを実施し、8月26日に株式会社日本総合研究所と契約締結しました。主な提案内容は資料のとおりですが、市側からは開発コンセプトに沿った公民連携モデルの設計を依頼しました。
(6)小さな拠点づくりプロジェクト
旧伊手小学校活用に向けた取り組みは、市としては未利用施設の活用であり、市民提案を具現化するための伴走支援です。5月に伊手振興会と協定を締結し、施設改修工事は令和7年度に着工予定です。
「小さな拠点」は地域のコミュニティを支え、なりわいを創出しながら、健康長寿をサポートする組織に育成したいと考えています。また、国では、今年5月、改正広域的地域活性化基盤整備法(二地域居住促進法)が成立し、今年の秋から冬にかけて施行されます。これを実践するためには、住まい、なりわい、コミュニティが必要で、その役割を小さな拠点が果たす可能性があります。
2、財政基盤の確立について(財政健全化の総括)
初めに断っておきますが、私は財政健全化を図る指標として、歳出の削減額のみに注目することには異を唱えています。予算・決算は、グロスで観る考え方と、ネットで観る考え方がバランスよく配慮されなければなりません。この指標は、グロスだけを見ているため、事業投資の効果が見えないことになります。一番いい例が、ふるさと応援寄付事業です。寄付が増えれば増えるほど、返礼品の経費がかさみ、歳出のグロスだけで見ると悪化しますが、ネットでは好転します。そのため、今回は除外しております。
令和5年度と重点取り組み期間3年間の総括は資料に記載の通りです。今後の展開についてですが、未来事業投資(※正しくは「未来投資事業」)は、単年度では投資効果が見えにくいため、ライフサイクルコストやライフサイクルベネフィットの考え方を導入していきたいと思います。将来的な負担を反映する「実質負担比率(※正しくは「将来負担比率」)」と、財政調整基金残高を判断する指標にします。
以上、上半期のレビューでした。今後もプロジェクトなどの進捗管理と横展開を通して、部門横断的な仕事の進め方を工夫すること、市民の協力と提案が得られる機会作りに留意することに心掛けて、施策を展開してまいります。
3、総合計画大綱別の主な取り組みについて
総合計画大綱別の主な取り組みについて(PDFファイル:2.5MB)
質疑応答
Q:新医療センターの整備について、市民の理解を得られたかどうかを市長はどのようなポイントで判断されるか伺います。
A:我々が市民と接する機会として、市民説明会や市政懇談会があります。こうした場では、自分たちの意見を伝えたい人々が集まっていますので、市民全体でどの程度理解されているかを把握するのは難しいです。しかし、これらの場でも定量的なデータやエビデンスに基づいて説明することで、納得していただくことが目標と考えています。
イメージだけでなく、実際の情報や例を示すことが重要です。例えば、「赤字であるにも関わらず将来的に年間1億円の支出を増やして病院経営を行う必要性があるのか」という専門家の意見が出ています。このような点についても、私たちのプロジェクトが持っているストーリーを明確に示す必要があります。
それも、単に私たちの理想を語るだけではなく、外部の良い例を基にストーリーを組み立てたいと思っています。説得力を高めることによって、相手が納得するレベルに到達することが目標と考えています。
Q:地域医療奥州市モデルプロジェクトのシンポジウムの開催について、具体的にはいつ予定されているのかと、内容と開催のねらいについて伺います。
A:シンポジウムについては、早ければ11月後半に開催する予定です。現在、内容の組み立てを進めている段階で、公表できる詳細はまだありません。
シンポジウムの目的は、新医療センターの必要性を確認する場とすることです。白紙撤回するべきだという意見もあるため、まずは必要性を確認し、さまざまな懸念点について話し合い、解消できるかをテーマに議論する予定です。
今回の医療センターに関しては、5つの論点があると考えています。1つは、地域医療奥州市モデルに対する懸念、2つ目は市の財政に対する懸念、3つ目は病院医療の強化プランの実現性に対する懸念、4つ目は建物のコンセプトと場所に関する懸念、そして5つ目は水沢病院の運営方法などに対する懸念です。これらの論点について整理し、お互いに質問しながら理解を深めるために、市民説明会とは異なる形式で開催する必要があると考えています。それが今回のシンポジウムの目的です。
シンポジウムには、さまざまなビジョンを持つ人たちが参加することにより、複数の視点に基づいた議論ができるというプラス面があります。これにより、市民の方々にも分かりやすくなると考えています。
Q:奥州湖周辺エリアプロジェクトのスケジュールの中に、11月にかけて「河川空間のオープン化社会実験」とありますが、これについて具体的に説明をお願いします。
A:国で「河川空間のオープン化」に関する制度を設けており、奥州市では奥州湖周辺やダムの管理区域において、民間事業者が営業活動を行えるようにするための取り組みを進めています。治水や利水の目的以外でも、ダムを社会経済的な資源として活用してもらうため、奥州市でも国の方からの打診を受けて、現在社会実験が行われています。具体的には、ダムフェスの際に事業者に自由に活動してもらうなどして、奥州湖周辺での営業活動に対するニーズを把握しています。すでに夏のダムフェスでも社会実験が行われ、引き続き秋のダムフェスでも実施予定です。11月には栗駒焼石ホットラインが冬季閉鎖となるため、その前までの実績を基に国に報告したいと考えています。
発表項目
1、「胆沢ダムフェス2024 in 秋」の開催について
2、市内路線バスでの交通系ICカード決済の利用開始について
市内路線バスでの交通系ICカード決済の利用開始について(PDFファイル:2.1MB)
Q:利用開始に当たり、取材の場面は検討されているか伺います。
A:利用開始日の12月2日に、ICカードを搭載した第1号車が江刺バスセンターから発車する際にセレモニーを行いたいと思っております。市長に実際にICカードを使って乗っていただくということを考えています。詳細が決まりましたら報道機関の皆様にお知らせしますので、取材方よろしくお願いいたします。
3、令和6年度奥州つながるフェスタの開催について
令和6年度奥州つながるフェスタの開催について(PDFファイル:1.8MB)
Q:これまで開催してきて、団体同士のつながりによって展開されてきた活動はあるか伺います。
A:市民公益活動団体がそれぞれ独自に活動しているため、他の団体が何をしているのかわからない人が多かったのですが、こうした人々が一堂に会することで、コラボレーションしながら様々なイベントが行われています。市では市民公益活動団体に補助金を交付しており、「コラボコース」というものもあります。つながるフェスタを通じて団体同士のつながりができ、例えばこども食堂と塾が連携した活動や、ボランティアでお互いのイベントを手伝うなど、様々な形でつながりが深まっているように思われます。
4、令和6年度男女共同参画講演会の開催について
令和6年度男女共同参画講演会の開催について(PDFファイル:1.7MB)
Q:パートナーシップ制度について、いつごろ導入を予定しているか伺います。
A:パートナーシップ制度の取り組みは、来年、令和7年の4月1日からを考えています。それに先立ち、男女共同参画推進条例の中に「性の多様性」の理念を入れたいと考えており、今年中に条例改正を考えています。条例に基づいて、パートナーシップ制度の行政手続き的な部分は要綱で進め、4月1日から各課においてサービスの提供をしたいと考えています。
5、市民講演会「最期までわたしらしく生きるために~あなたと大切な人の笑顔のための人生会議~」の開催について
6、急変時の情報連携推進事業「もしもカード」の取り組みについて
急変時の情報連携推進事業「もしもカード」の取り組みについて(PDFファイル:1.8MB)
Q:奥州金ケ崎消防本部で、救命措置を望まない人に対する運用はいつから行われているかの確認と、広域ということで「もしもカード」は金ケ崎町民にも配布されるのか伺います。
A:救命措置を望まない方の心肺蘇生処置の取りやめについては、令和3年7月から運用を開始しています。また、蘇生を望まない同意書についても取り組んでいます。在宅末期の方や治療が見込めない方がほとんどになりますが、消防法では救急車を呼んだら救命しなければなければならないため、事前に同意書があれば蘇生せずに在宅で看取ることになります。
「もしもカードは」、金ケ崎町もエリアに入っていますが、とりあえずは奥州市民に配布しています。要援護台帳や緊急連絡カードなどの書類は常に持ち歩いているわけではないため、救急搬送時に連絡先がすぐにわからないという医療現場からの声から生まれたものです。いつでも手軽に身に着けておけるよう、名刺サイズのカードを作成しました。
7、「第15回みちのくダム湖サミット in 胆沢」の開催について
自由懇談
Q:トーランス市との友好都市締結について、具体的な成果と、今後何かやろうと考えていることがあるか伺います。
A:友好都市については姉妹都市とは異なり、民間レベルでの活動を可能にしたいと考えていました。その基盤整備を行って次のステップに引き継ぐことがミッションであり、そのためにまず締結を行ったのが一つの成果です。
友好都市締結については、現地のマスコミの関心も予想以上に高く、トーランス市の職員の方々からも積極的で親切な対応をいただきました。驚いたことは、向こうの市の職員には日本人がおり、その方が江刺にゆかりのある方で、司会を務めてくれたことです。
経済交流についても双方で進める意向があり、実際に協定締結の前日にカリフォルニア州、ロサンゼルスカウンティ、トーランス市、およびジェトロの関係者が集まり、経済支援に関する協力体制について説明がありました。私たちも奥州市の動画を使用し、市の特徴を理解してもらうための説明を行いました。それから、奥州市の企業がアメリカ進出をしようとした場合にどのようなステップになるのかといったような説明もあり、実際的な体制ができつつあると感じています。
それから、企業訪問も行いました。その中に日系の企業もあり、奥州市からアメリカで農業をしたい人が活動を開始する際に、農産物の流通や輸出に関わるキーパーソンが明確になったことが一つの収穫でした。アメリカの企業では、特にIT関連、奥州市の半導体関連メーカーに興味を持っていることがわかりました。それを活用できる話を持ちかけたいと考えています。
基盤整備については、一定の成果を得ることができたと思っています。
それから今後のことですが、少年野球の試合をしようという話がありました。向こうの監督も非常に乗り気で、こちらに大谷選手のお父さんが監督をしているチームもあると知ると大変喜ばれましたが、どうなるかはまだわかりません。
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更新日:2024年10月31日