自由研究にいかがですか? 「こどもの権利」を知ろう
自由研究の宿題で、こどもの権利や「奥州市子どもの権利に関する条例」について調べてみてはいかがでしょうか。ここでは「奥州市子どもの権利に関する条例」を読み解きながら、自由研究のヒントになりそうなことをまとめています。
奥州市では、1989年(平成元年)に国際連合の総会で採択された「児童の権利に関する条約」(日本は1994年に批准※1)の趣旨を踏まえ、「奥州市子どもの権利に関する条例(以下、「権利条例」といいます。)」を定め、平成24年4月に施行※2しました。
※1批准…条約を国が承認すること。つまり、国が「ヨシ! わかった、その決まりのとおりにしよう」と決めること
※2施行…法令の効力が発生すること。つまり、決まったことが、ルールとしての効果をもつこと
どうしても、むずかしいことばも出てきます。むずかしい言葉をどう言い換えればわかりやすいか、研究のなかでは、上にある「批准」や「施行」のように、つまりどういうこと? と言い換え方を考えてみるのも良いと思います。
1 奥州市子どもの権利に関する条例、まずは前文を読む
まずは前文を読んでみましょう。法令の条文本体の前に置かれ、その法令の制定の趣旨、理念、目的などを強調して述べた文章です。前文は、具体的なきまりを定めるものではありませんが、各条文の意味を知る基準となるものと言われています。条例のような「きまり」を知るうえで、ぜったいに読んでおくべきものです。奥州市子どもの権利に関する条例の前文を以下に掲載します。
奥州市子どもの権利に関する条例 前文
子どもは、奥州市の宝であり、希望です。
人は、だれでも生まれながらにして幸せに生きる権利を持っています。
しかし、世界では、貧困、飢え、虐待等の困難な状況に置かれている子どもがたくさんいます。このような子どもたちを救うため、国際連合では児童の権利に関する条約が採択されました。
我が国においてもこの条約を批准していますが、いじめ、体罰、虐待、子どもが当事者となる事件の多発、不登校、核家族化等子どもを取り巻く環境は、ますます複雑になってきています。
このことは、奥州市においても例外ではなく、行政、家庭、地域、企業が連携し、社会全体で子どもたちを支援する体制づくりが必要です。
子どもの皆さん
皆さんは、自分で判断することができ、みんなとともに生きることができるやさしい心と強さを持ち、自分を大切にする中で、他の人を思いやり、お互いを尊重し合える力をつけていくことが大事です。
私たちは、全ての子どもが、自分の持てる力を発揮して、いきいきと自分の可能性を追求し、幸せな人生を送ることができるよう、子どもの権利を保障し、支援するまちづくりに取り組むため、この条例を制定します。
2 まずは前文を読んで、こんなことを考えてみよう、やってみよう
以下のことを意識しながら、思ったこと(感想)を書いてみましょう。メモ程度でもOKです。あとで比べてみるので、メモでもいいから自分の考えを書き残しておきましょう。
・「生まれながらにして幸せに生きる権利」とは、どういうことかな。権利とは、むずかしいことばですが、じぶんの思うとおりに行動(こうどう)したり、だれかにおねがいをしたりすることができる、ということです。
・どんな権利を、自分たちは持っているんだろう? ゆっくり考えてみよう。
・児童の権利に関する条約、いわゆる「子どもの権利条約」とは、どんなものだろう
(たぶん「子どもの権利条約」のことだけで、調べること、読むべき本はたくさんになると思います。ここは詳しく調べたいときにどうぞ)
・体罰、虐待、いじめなど、本当はみんなが権利をもっているのに、なぜこんなことが起こるのだろう?
・「自分で判断することができ、みんなとともに生きることができるやさしい心と強さを持ち、自分を大切にする中で、他の人を思いやり、お互いを尊重し合える力をつけていく」 このために、自分ができることは何だろう、どんなことが頑張れるだろう?
・「自分で判断することができ、みんなとともに生きることができるやさしい心と強さを持ち、自分を大切にする中で、他の人を思いやり、お互いを尊重し合える力をつけていく」 このために、自分以外のみんなに、どのようなことをしてほしいだろう? 自分がどうすれば、みんなはそれをしてくれるだろう? 目指してくれるだろう?
前文の最後に書いてあるとおり、奥州市のこの条例は、行政、家庭、地域、企業が連携し、社会全体で子どもたちを支援する体制づくりを行うために、みんなの決まり(ルール)として、文章で明らかにしたものと言えます。難しく言い換えれば、権利について「明文化」している、と言えるでしょう。
なお、こどもが奥州市の宝であり、希望であることは、疑う余地はありません。まちがいなく、こどもは宝であり、希望です。
3 奥州市子どもの権利に関する推進計画(以下、推進計画)とは
条例はいろいろなことが書いてあります。が、もっと詳しく書いてあるのは推進計画です。
推進計画は、権利条例第20条の規定に基づき、条例の目的である子どもの権利の保障を総合的かつ計画的に推進するための計画です。
この権利条例の目的「全ての子どもがいきいきと輝き、伸びやかにたくましく育ち、幸せな人生を送るため、子どもの権利を保障すること」を踏まえ、こどもの権利を保障するための取り組みを総合的かつ計画的に推進することを目指しています。
「奥州市」の取り組みを示すとともに、「保護者」、「保育所や幼稚園などの子どもが育ち・学ぶ施設の関係者」、「地域住民」、「事業者(企業など、事業を営む人)」、それぞれが責任をもってこどもの権利を保障するために取り組むべきことを、「計画」として条例より詳しく定めたものです。
推進計画には現状と課題、基本理念及び基本目標、施策、評価について記載されています。施策とは、問題について対応し解決を図る実施策のことです。
つまり、
めざすすがたはどんなものなのか
そのすがたになるために何をするか
どのくらい、できているか
今はここまでできたから、これからはこうするべきではないか
と、ことばを変えて読んでみましょう。
推進計画がめざすすがたは
「全ての子どもがいきいきと輝き、伸びやかにたくましく育ち、
幸せな人生を送ることができるまち」
人は、誰でも生まれながらにして幸せに生きる権利を持っています。
全てのこどもが、自分の持てる力を発揮して、いきいきと自分の可能性を追求し、幸せな人生を送ることができるよう、一人ひとりがこどもの権利を理解し、こどもの育ちを社会全体で支えていくまちづくりを推進計画は目指しています。
めざすすがたになるための4つの目標
基本目標1 「自分の良さを認めることのできる心を育みます」
自己肯定感を高めることは、こどもの自信ややる気を育てます。こども達が他者との比較に依存することなく自分を価値あるものと認められるよう、こども一人ひとりが大切にされる社会を目指します。
基本目標2 「こどもが参画できる機会を増やします」
こどもは社会の一員です。こどもを大人のパートナーとして捉え、主体性を大切にしながら、こどもの意見を取り入れた取り組みを推進します。
基本目標3 「相手を思いやる気持ちを育てます」
一人の人間として大切にされているという実感は、他者を尊重しようとする気持ちに繋がります。他者の異なる点を個性として尊重するなど、他者に対する思いやりが育まれる社会を目指します。
基本目標4 「こどもの権利に対する意識を高めます」
こどもの権利が尊重される社会は、こどもの自己肯定感を高め、基本理念に掲げる幸せな人生をもたらします。
情報の発信や啓発活動を通して、市民のこどもの権利に対する意識の向上に努めます。
目標を達成するために、何をするか
詳しくは推進計画(奥州市こども計画の中の、第3次こどもの権利に関する推進計画)に記載されていますので、そちらをご確認ください。
↑ 推進計画はここでダウンロードできます
どんなことをすればいいか。もしくは、こんなことをすればいいんじゃないか
そんなふうに一人一人に考えてみていただきたいので、ここには記載しておりません。
ぜひ、考えてみてください。
4 前文を読んで考えたことと比べてみましょう
前文を読んで考えたことと、推進計画まで読んで考えてみたことを比べてみましょう。
自分の考えがどう変わったでしょうか。
仮に考えが変わらなくても、より強く自分の考えを持つことができるようになった、自信が確信に変わったとか、いろいろな感想を持つと思います。それをまとめてみましょう。
そして、奥州市がめざすすがたになるために、自分が何ができるかを考えてみましょう。大人に、どうなってほしいか、考えてみましょう。
さらにくわしく調べたいときは
・子どもの権利条約に関する本が、たくさん出版されています。
この子どもの権利条約を読んでみるのも良いかもしれません。
この子どもの権利条約の考え方や、歴史を調べるのも良いかもしれません。
・こども基本法は、子どもの権利条約に基づいて作られています。こども家庭庁のホームページ上で、動画でも学ぶことができます。興味を持ったら、見てみましょう。
誰かに伝えたいときは
奥州市のホームページ「おうしゅうこどもポータル」では、インターネットで意見を市に伝える機能があります。ぜひ、自由研究を通じて考えたことを送ってみてください。
おうしゅうこどもポータル(Oshu Kids Portal)
あなたの意見が、奥州市の考えの「たいせつな一つのピース」になるかもしれません。
自由研究は、自由に研究していい
以上のとおり
1 条例の前文を読む
2 前文を読んで思ったことを記録しておく
3 推進計画を読んで、どんなことをしようとしているかを知る
4 前文を読んで思ったことと、推進計画やそれを読んで考えたことを比べてみる
この4つのステップで、自分の意見をまとめてみてください。それを通じて、こどもの権利について理解を深めていただきたいです。
更新日:2025年03月31日