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ウシの生物学 The Biology of Cattle

人工増殖技術の発展Development of Production Technology

哺乳類が子どもをつくるには、雄と雌が交尾することが必要です。家畜の繁殖においては、生産性が高い子を得るために、優秀な雄と雌を交配させることが古くから行われてきました。しかし、この方法では1回の交尾で1頭の雌を受胎させるにすぎませんでした。この問題を解決する技術として開発されてきたのが、家畜の「人工増殖技術」です。

まず、人工授精の登場によって、離れた場所にいる雄牛と雌牛から子牛を生産することが可能になりました。また、1頭の雄牛から同時に数多くの雌牛に種付けできるので、短期間に雄牛の遺伝的能力を判定して優れた種雄牛を選抜することができます。精液の凍結技術によって、人工授精技術はより使いやすくなり、一般の農家に普及していきます。近年では雄雌の産み分け確率が高まる性選別精液や、母親、父親ともに優秀な種牛から子どもを生産できる受精卵移植が登場しています。

人工増殖技術は、家畜の繁殖をコントロールして優れた遺伝子を有効に利用する技術であると言えます。これら人工増殖技術が生産現場で普及したことにより、乳用牛では、乳脂肪分、乳量の改良が、肉用牛においては肉質、肉量の改良が飛躍的に進みました。

畜産技術の発展 畜産技術の発展

主な展示資料

  • 伝書鳩による精液輸送(復元)
  • 牛用人工膣/馬用人工膣
  • ストロー精液注入器
  • 精液凍結保管器(断面)
  • 受精卵注入器

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