牛の里前沢 Maesawa:the Home of Cattle
前沢が海だったころThe Ancient Underwater world of Maesawa
前沢内の今から500万年前の地層から、クジラの化石が発見されました。それも1つではなく2頭の全身骨格が揃った化石で、一方にはミズホクジラ、もう一方にはマエサワクジラという名前が付けられています。ミズホクジラは、すでに絶滅したケトテリウム科の仲間で、マエサワクジラは現在栄えているナガスクジラ科の仲間であることが分かっています。このことは、絶滅していくグループとこれから栄えていくグループとが同じ時期、同じ場所に生息していたことを示しており、鯨の進化を研究する上で非常に貴重な発見です。また、同時に発見された化石の中に、骨質歯鳥と呼ばれる大型の鳥(羽を広げると5メートル)の骨も発見され、当時、この周辺が非常に豊かな海であったことが分かります。同じ地層で見つかる貝の化石や、植物の化石から、非常に浅い海だったことが分かっており、現在の仙台湾が北上川の流れにそって奥まで入り込み、古仙台湾を形作っていたと考えられています。
クジラは、私達と同じように、母の乳で育つ哺乳類です。陸地で進化してから生活の場を海に求めました。陸上の哺乳類でクジラに近縁なグループはカバの仲間で、ウシやシカとあわせて鯨偶蹄目と呼ばれています。クジラの胃や生殖器は、ウシと非常に良く似ています。最近のDNAを比較する研究からもこのことが裏付けられています。

前沢のクジラ化石(複製)

主な展示資料
- マエサワクジラ全身骨格化石(複製)
- ミズホクジラ全身骨格化石(複製)
- マエサワクジラ産状化石(複製)
- 骨質歯鳥上腕骨化石(複製)
- 骨質歯鳥模型
- 前沢産鯨化石第3標本
- 貝化石、植物化石