ウシの生物学 The Biology of Cattle
世界の野生牛Bovinae from around the World
ウシ科の中でウシ亜目に分類※される仲間には、アフリカスイギュウ属、アジアスイギュウ属、ウシ属、バイソン属などがおり、これらの仲間は、体が大きく、尾は細長く先がふさふさし、鼻鏡が大きく、左右に分かれていません。角は雄にも雌にもあるなどいくつかの共通の特徴を持っています。これらの動物は、草原だけでなく、森林や山岳地帯にも生息しています。野生のウシの仲間には、狩猟の対象とされたり、生息環境が破壊されてしまったりして絶滅が心配されるものが多く含まれています。

世界の野生牛

アジアスイギュウ頭蓋骨
※分類とは、似ているもの同士をグループ分けすることです。地球上の生物は、体の特徴や遺伝子配列をもとに分類されており、これを専門に研究する学問を分類学といいます。この分類の下の級で同じグループに入るものほど近い仲間といえます。例えば、家畜のウシは、つぎのようになります。
- 鯨偶蹄目【偶数の蹄を持つ仲間】
- 奇蹄目、霊長目などと分けられます。
- ◇(ウシ亜目)【反芻(はんすう)(かみ返し)をする仲間】
反芻しないイノシシなどと分けられます。 - ウシ科【角は洞角で生え変わることがないなど…】
- キリン、シカなどと分けられます。
- ◇(ウシ亜科)【鼻鏡が大きく、左右に分かれていない。角が雄にも雌にもあるなど…】
ヤギ、レイヨウの仲間と分けられます。 - ウシ属【雄には普通、たれ皮があるなど…】
- バイソン、アノア、アジアスイギュウ、アフリカスイギュウと分けられます。
- ◇(ウシ亜属)【亜属間で交配しても子供ができない。できても雄の子供に繁殖能力がない】
ガウル、ヤク、クープレイと分けられます。 - ウシ【ウシという種に分類されます】
- 野生のものは絶滅したオーロックス(家畜牛の祖先種)のみ。一部地域に再野生化したものがみられます(イギリスのチリンガム、日本の口之島牛)。なお、品種というのは、種の下の級です。ウシの場合は、人間が望む特徴を持ったウシ同士を交配して、望む特徴を子孫に持たせた集団をさします。
主な展示資料
- 世界の野生牛パネル
- インドガウル頭蓋骨
- アジアスイギュウ頭蓋骨