松村香織(まつむら かおり)さん

結婚を機に東京で暮らしていた松村さんでしたが、奥州市で暮らすご家族への強い思いから、Uターンを決意。Uターンに至るまでの思いやUターン後の生活についてお伺いしました。

松村香織さん

出身地:奥州市出身(Uターン)

移住時期:2022年1月 家族で移住

家族構成:4人(ご主人、お子さん2人)

奥州市へUターンするまでのプロセス

■Uターンを考え始めたきっかけは?

昔から地元に住み続けたいという思いがあり、プロポーズの時に「岩手で暮らすこと」を条件に結婚しましたが、主人の出身地が埼玉県ということもあり、話し合った末、一度は東京に定住することを決心しました。マイホームを建て、奥州市で一人暮らしをしていた母が定年を迎えたら東京で同居する予定でした。

母自身も納得していたものの、定年を控えた年齢になり「今から東京に生活を移すのは難しい」と言われ、それが移住を考える大きなきっかけだったと思います。母は持病をかかえており、このまま独りにすることに抵抗を感じ、岩手に戻ることを強く意識しました。それがちょうど転居の1年ほど前だったと思います。

■移住に向けてどんなことから始めましたか?

転居の1年ほど前に、主人がキャリアアップのため転職活動を始めました。私としては、岩手に戻ることを考え始めていた頃でしたが、当時主人は関東に残りたい気持ちもあったようで、東京に残るか、岩手に戻るかの2択でした。

技術職で、そもそも求人が少なく、なかなか希望の就職先が見つからない中、グループ会社に岩手県勤務の求人があり応募したところ、内定となりました。グループ会社というのもあり応募から内定まではスムーズで、内定後、勤務開始まで2カ月くらいしかありませんでした。そこから家の売却や引っ越し先の住居探しなどを始めた感じです。

■住まいはどのように探しましたか?

現在は、戸建ての賃貸で暮らしていますが、民間の住宅情報サイトで見つけました。

庭は80坪くらいあり、子どもたちがのびのび遊んでいます。

東京には戸建ての賃貸はあまりありませんでしたが、こちらには安い家賃で借りられる庭付きの戸建てがたくさんあり驚きました。

あとは、都内でリノベーション住宅も流行っているので、市の空き家バンク(●物件一覧https://www.city.oshu.iwate.jp/section/ijyuu/sumu_akiya_list.html)も拝見しました。

■移住する際に困ったことやよかったことはありますか?

主人の仕事の内定が決まってから勤務開始まで2カ月ほどしかなく、家の売却が一番大変でした。幸い売り出して2週間ほどで売れたので本当に良かったです。しかも購入価格よりも高値で売れ、移住を後押しされたような気分でした。人気のエリアで、築年数も浅く、コロナ禍だったこともまた、タイミングとしてはよかったようです。

Uターン後の生活について

■生活に大きな変化はありましたか?

東京では共働きで、毎日忙しく過ごしていましたが、こちらに来て主人の収入が上がり、生活費全般は下がって、今は専業主婦になりました。主人も通勤時間が1時間弱から20分ほどになり、いろいろな面で余裕ができた気がします。

それに、主人は趣味のツーリングが以前より楽しめるようになり、大好きな北海道に近くなったし、岩手の美しい景色もみられるし、とても喜んでいます。私は何より子どもとゆっくり過ごせる時間が増えてとても嬉しいです。

平日のスケジュール
07:00
起床・食事
08:30
幼稚園送迎
09:00
家事
10:00
公園など遊び
12:00
昼食・寝かしつけ
14:30
幼稚園送迎・遊び
16:00
入浴
18:00
夕食
20:00
就寝

■お子さんとどのように過ごしていますか?東京との違いはありますか?

田んぼがあったり、虫がいたり、魚がいたり、それを子どもたちがみたり、触ったりして遊ぶことが無料でできるのは本当に嬉しいです。毎日の散歩コースにキウイの木があって、キウイがなっているところを見たり、この間は天然の蛍を見に行ったりして、子どもたちもすごく喜んでいました。

松村香織さん

ただ、自然の環境はそろっているものの、雨が降った時に遊ぶところが少なく、気軽に利用できるキッズルームなどがもっとたくさんあると嬉しいですね。東京ではお昼寝の前後などに1~2時間利用できるショッピングモールのような施設がたくさんあったので、やはり便利だったなと思います。

■教育面でも東京との違いを感じていますか?不安などはありますか?

東京にいたころは、小学校からお受験するご家庭が多く、公立の学校でもかなり力を入れているようでした。習い事も、いろいろな種類があったし、幼稚園で預かり中に送迎してくれるサービスもあって、教育面は充実していたと思います。こちらに来てインターネットで習い事を検索しても全然みつからなくて、少し不安になりました。それでもいろいろ考えた結果、学校については、平均的でよいというか、学力の差で見放されるようなことはないのかなと感じました。

今回奥州市への移住が決まった時、田舎に帰ることを職場の人たちにすごく心配され、子供の選択肢を狭めるとさえ言われましたが、今奥州市には、大谷選手をはじめたくさん活躍している人がいるし、場所は関係ないと思います。近所の子どもたちが元気な声で挨拶をしてくれたり、横断歩道を渡るときには、必ず車は止まるし、渡るときに一礼、渡り終わった後には振り返ってお辞儀をする子どもの姿を見て、改めてこの土地だからよい子育てができるのではないかと思いました。

■教育面でご主人と考えの違いはありませんか?

都会育ちの主人は子どものころからたくさんの習い事をしていたみたいですが、それもあってか「小さい時は遊ばせるのが一番」と今の環境に理解を示してくれています。

■子育てのサポートはありますか?

実家が近くなって、実母の育児サポートが受けられるようになりました。一人でゆっくり買い物をしたいときなど、助かっています。遊びに行く機会も増えて、母がたくさん話しかけてくれるので、下の子の発語が増えた気がします。

■移住後、困っていることはありませんか?

子ども服を売っている店が少なくて困りました。インターネットで購入はできるものの、実際に見て購入できるところをもっと増やして欲しいと感じます。ただ、こちらに来て貰い物は増えたかもしれません。大量のおさがりをいただいたりしました。

それに、小児科が少なく、気軽に安心して行ける大きいな病院も近くにはなく、不便に感じます。東京にいたころは大学病院にも行く機会が多かったですが、こちらでは敷居が高く感じます。実際、子供の通院のため遠方へ通っていますので、医療体制がもう少し整うと嬉しいです。

奥州市で暮らして思うこと

地元を好きになっていると、何かきっかけがあったときに帰ってこようと思えると思います。私もそうでしたが、一度は地元を離れ、外を見ていろいろ考えた結果、地元に帰ってこようと思いました。子どもたちにも奥州市を好きになってもらえるよう日々一緒に過ごして、この先大学進学や卒業後の就職先は出て行ったとしても、ここに帰ってきたくなるような子育てをしていきたいと思っています。また、市内でつける仕事の選択肢が専門的なものなどたくさん増えるといいなと思います。

そして、私はこの先ずっと奥州市で暮らしていきたいです。そう思って、実は今二度目のマイホームづくりに向けて打ち合わせ中で、親戚の建築設計士に設計をお願いしています。

東京では、利便性や教育面など条件で住む場所を選んでいましたが、こちらでは人の良さや自然環境などが大きな決め手になる気がします。子どものマナーが良いなど、奥州市ではきちんと人が育っていて、財産となる人がたくさんいると思います。

移住を検討されている方へ一言お願いします!

人生長いので、少しでも興味がわいたところや好きな所へ行ってみて、自分に合うところをみつけて暮らしていくことがなにより幸せだと感じます。皆さんにもぜひそういう場所を見つけてほしいと思います。

松村香織さん