桐山千裕(きりやま ちひろ)さん

桐山千裕さん

出身地:神奈川県横浜市

移住時期:2022年3月

家族構成:4人(ご主人、お子さん2人)

移住元:東京都

結婚を機に、初めて奥州市とのつながりができた桐山さん。縁もゆかりも無い岩手に移住すること、そして将来は“住職の妻"になるという未知の世界に抵抗はなかったのでしょうか?
その移住ストーリーを伺いました。

移住のきっかけ

以前勤めていた職場で、奥州市生まれ東京育ちの主人と出会い、結婚する前から、叔父さんが住職をしている奥州市水沢の法泉寺というお寺を継ぐつもりだと聞いていました。

そのため、結婚後にはお盆やお彼岸のお手伝いを兼ねて時々奥州市に来ていました。結婚してほどなくして、長男・次男を授かり、東京で子育てしていましたが、色々考えてやはり子供たちにとって一番いいタイミングでと思い、適期となった2022年に移住しました。

移住の準備

いずれ移住するつもりでいたので、年に何回か来るタイミングで、少しずつ地域のことを知っていきました。何よりも、主人の叔父さんであるご住職がとても親切にしてくださり、頼れる方がいたので、少し安心できました。

買い物ができるところや、病院、幼稚園やこども園は特に気になるところではありましたね。

幼稚園やこども園は、市の窓口で情報をもらいましたし、事前に見学もできました。次男を希望のこども園にすんなり入れることができたので良かったです。両親や友人からは心配もされましたが、私は“やってみないと分からない"という考え方で、自分にできることがあればやってみようと思っていました。

奥州市の印象

最初の印象は、思ったより田舎じゃないなって思いました。岩手っていうと、山!海!みたいなイメージだったので、奥州市に来て、あれ、案外街じゃない?と(笑)

住み始めてからも、一般的なものは近場で揃うので、買い物にも困らず住みやすいと思っています。

車の運転は大丈夫?

ペーパードライバーだったので、こちらに来て運転の練習をし直しました。といっても、道路や駐車場が広いので、近場のお買い物ついでに練習しているうちに慣れていき、今では雪道の運転にも自信がついてきました。もちろん、スピードを出さずに急ブレーキを踏まずに・・とコツを守って運転しています。

家族の変化・来てから変わったこと

桐山千裕さん

子供たちが生き生きしていると思います。東京では集合住宅に住んでいたので、子供たちが家の中で騒いだり、走ったりすると私もピリピリして。公園で遊んでいても、あまりうるさくすると、ご近所の方が注意しに来るような感じでした。こちらだと一軒家も多いし、走り回っていても皆さん優しくて。
なので気持ちの余裕というか、私も怒ることが減ったし、子供たちものびのびしています。近所に年の近い子がいるので、一緒に遊んだりしてくれて、ありがたい環境です。

家族のトピック

奥州市に来て長男が小学一年生になり、野球を始めました。

市役所へ引っ越しの手続きに行った日が、ちょうど大谷選手(奥州市出身!) のメジャーリーグ開幕戦で、色々なメディアの取材が来ていました。その際に親子で取材を受けて、地元新聞に載ったんです。
まさか引っ越してすぐに新聞に載るなんてって親子で大喜びして。その時、長男が大谷選手みたいにホームラン撃つんだ!と話したところ、その記事を見たご近所の方が野球チームを紹介してくださり、すぐに入団しました。

練習試合や遠征に行ったりすることもあるので、今は長男の野球メインで結構忙しくしています。

お休みや家族の過ごし方

冬はスキーにも行きました。東京にいたときは一日がかりで新潟や長野に行くので、シーズンに1回行ければいいという感じでしたが、今では車で1時間もかからずに行けるので、すごくありがたいです。

これからはキャンプもしたいですね。お友達に聞くと、庭先でバーベキューをするそうで、ほとんど皆さん道具を持っていて驚きました。キャンプ場にも行きたいですし、カヌーもしてみたいです。

生活環境について

目的をもって出かけるので、余計なものを買わなくなりました。生活の質はあまり変わっていないと思います。

テレビで紹介された商品なんかを、急いでお店に買いに行くと、余裕で残っていたりして(笑)主婦的には嬉しいですね。買い物の穴場です。

桐山千裕さん

そして奥州市に移住して1番良かったのは「食」です。

岩手県産の食べ物はとても美味しく、野菜やお魚はとても新鮮、お肉は上質、特にお気に入りの場所は地元の産直です。江刺のりんごは家族もみんな大好きで、誰に贈っても喜ばれます。

ご近所の方が春は山菜、秋はきのこを採ってきてくださいますし、春に息子の野球で大船渡まで遠征に行った時は、相手チームの方から採れたての茎わかめやメカブをいただき、初めて見る姿に驚愕でした。

知り合いの農家さんから稲の苗をいただき、庭で子供たちと育ててお米を収穫できたことも、いい経験になりました。風景からも食材からもダイレクトに季節を感じられることが、何よりの幸せですね!

今後やりたいこと

できれば、ご法事やお葬式以外にもお寺に気軽に来てもらえるように、居心地のいい場所が作れたらいいなと思っています。その一つとして子ども食堂にも興味があって、今やられている方にお話を聞きに行ったりして情報収集しています。今すぐは難しいですが、主人と相談しながら、タイミングを見て何か始められたらいいと思っています。

桐山千裕さん

奥州市に移住してから、ご縁があって、自分のしたいことを形にしている人・しようとしている人たちに沢山出会いました。東京ではそんなことを考えたことも無かったのですが、私でも地域の役に立てることがあるのではないかと思わせてくれるような、『個』が活かされる、可能性を秘めた街だと思っています。

「檀家さんにとっても地域の皆さんにとっても、憩いの場となれるようにお寺を守っていきたい」

と話す桐山さん。穏やかな笑顔の向こうには、しっかりとした意思が感じられます。

取材 2023年4月