菊地渚(きくち なぎさ)さん

神奈川県からUターンされ、奥州市内でご両親とともにヘア・サロンを経営されている菊地さん。おしゃれな人があふれるまちにしたいと奮闘される日々について伺いました。

菊地渚さん

出身地:奥州市出身(Uターン)

移住時期:2018年4月 単身で移住

職業:理容師

Q.奥州市へUターンしたきっかけは?

祖父母、両親と代々理容室を経営してきたので、自然と私も理容師になりたいと思うようになりました。奥州市内の高校を卒業後、盛岡市の専門学校へ進学、神奈川県のヘア・サロンへ就職し、11年の修行を経て、家業を継ぐため奥州市へ帰ってきました。少し迷いもありましたが「自分の育ったまちで仕事がしたい」という思いが強かったので、Uターンを決めました。家族と離れて暮らす時間も長かったので、地元に戻って親孝行がしたいという思いもありました。

Q.移住のプロセスについて

■いつ頃から移住を考え始めましたか?

神奈川県で働き始めて7、8年経った頃、技術的にも自信がついてきたし、そろそろ新しい環境で挑戦したいと思い、Uターンを考え始めました。その頃は、地元に戻ること、家業を継ぐことにも迷いがありましたが、その後2、3年過ごしていく中で、当初からの「家を継ぎたい」「地元で働きたい」という気持ちは変わっていないことに気づき、当時勤めていたサロンの退職を決めました。その後1年間、退職予定にも関わらず店長を務めさせてもらえて、改めてサロンづくりを学びながらUターンの準備をしました。

■住まい探しはどうしましたか?

一人暮らしが長かったので、Uターン後も一人暮らしをしようと考えましたが、これまでずっと家族と離れていて、実は家族と暮らせる時間って短いのかもと気づいたら、もう少し両親や祖父母のいる家で暮らしたいなと思い、今は実家で暮らしています。

■移住する際に感じたことは?

地元とはいえ、11年も離れていたので不安がたくさんありましたが、やはり出身地の強みで、同級生など地元ならではの繋がりに助けられました。

私はこういった地元との繋がりがありましたが、全くない場合は少し大変なのではないかなと感じます。ここに行けば何でも相談できる、気軽に地元の人と交流できる、そういったコミュニティなどがあればいいなと思います。

Q.移住後の生活の変化は?

■毎日の生活で変化したことは?

時間の使い方が変わりました。仕事の忙しさは変わりませんが、自営業なので、以前に比べ自由な時間も取りやすいし、気持ちの余裕ができました。それに、家族と過ごす時間が増えました。あとは、金銭的な面で、無駄遣いが減りました。

■お仕事についての変化は?

移住後、元々両親が経営していた店を1年くらいかけて改装し、2019年5月にリニューアルオープンしました。 都会に比べ人は少ないし、最新情報など入りにくい部分はありますが、地域の人同士の繋がりが強く、神奈川のサロンに比べて、紹介や口コミで来てくれるお客様がとても多いです。お客様からお客様へ繋がって、物事が始まったり、広がっていったり、人の繋がりの強さ・大切さを感じます。お客様同士の信頼関係の中で、サロンを紹介していただき、私を信頼して来てくれることはとても嬉しいです。

菊地渚さん

■奥州市に移住してよかったことは?

深い地域愛を持っている方がたくさんいて、そういった思いを感じられることや、人と人が繋がり、地域の情報が知れて、交流の場が得られることがよかったです。同世代には、Uターンした人や地域のために活動している人が多く、やっぱりみんな奥州市が好きなんだなと感じます。私も地域のためにできることを考えていたところ、地元の子供たちに「理容師」の仕事について講演する機会をいただけて、思いが形になってよかったです。それに、自分の仕事を見つめ直す良い機会にもなり、成長できたと感じました。今後もこういった活動は精力的に行っていきたいです。

■不安や心配に思ったことは?

移住前後は、自分が馴染めるか、浮いた存在にならないか不安でした。今は地元の繋がりに助けられていますが、近すぎる人間関係に戸惑う場面がたまにあります。

■休日は何をしていますか?

時間がある時は走ったりして体を動かします。他には、ネイルやフェイシャルエステに行ったりと、自分メンテナンスに時間を使うことが多いです。

忙しい日々なので、なかなか難しいですが、長期の休みがとれたときは旅行に行ったりしています。以前行った宮古島は最高でした。

平日のスケジュール
07:00
起床
08:30
開店準備
09:00
開店
18:00
閉店
19:00
夕食・自分時間
01:00
就寝

Q.あなたにとって奥州市とは?

住みやすく、安心できるところです。近所のお店に行けばだいたい顔なじみがいて安心します。地元を大切にして地元への愛、思いを崩さない人が多く、人と人との繋がりを大切にして、皆で協力しながら地元を支えているという感じがします。また、それぞれの文化や伝統を大切に継承している農家さんや伝統工芸の職人さんなどが多いと思います。

Q.今後の活動は?

死ぬまで「はさみ」を持ち続け、地元の方に愛され続ける地域密着型のヘア・サロンをつくっていきたいと思います。また、サロン以外の場でも、例えば、ママさん向けにヘアアレンジのワークショップを開催したり、自分の生い立ちや人生観などを知ってもらって、地元の子供たちに生きるアドバイスができるような場を作ったり、地域のために何かできたら嬉しいです。

Q.移住を検討されている方へ一言お願いします!

奥州市はよくいえば自然豊かですが、田んぼや山ばかりで何もないと感じることもあります。私は、実際に地元を離れたことで奥州市のよいところを改めて見つけることができました。人との繋がりが大切で、せまいコミュニティとネガティブに感じることもあるかもしれませんが、心を開いて自分を知ってもらうこと、相手に興味を持って接することで、地域や人の良いところが見えてくると思います。都会と違って人も物も多くないし、情報も入りにくい部分もあるけれど、その中で探し、追求することでより多くのことを身につけられ、不便だからこそ学びがある、そんな毎日を大切に、田舎暮らしを楽しみたいと思って私も暮らしています。

菊地渚さん